【あらすじ】
雨を司る香一族の“露竜”は、その力のため、後宮入りした皇后候補の一人。
しかし、宮中では宰相派が幅をきかせ、今上派との派閥争いが激化していた。
雨を降らせることが出来なければ、露竜を後宮に招いた主上の立場までも危うくなる。
危機感は募るも、雨を降らせる為の儀式は、宰相派によって邪魔されていて……?
全7話。短篇中華風ファンタジーです。
【おすすめポイント】
(1)美しいことばであらわされる、しっとりとした雰囲気の物語世界
(2)「主人公が流す涙が天へ昇って雨を呼ぶ」という設定の秀逸さ
(3)二人の出会いから、距離が近づいていくまでの微笑ましいやりとり
(4)力を使いすぎて倒れた露竜の前に現れたのは……?からの甘く切ないラスト
是非お読みになって、詩的な余情溢れる物語世界を味わっていただきたいです。
【こんな方へ】
☑しっとりとした余情を感じさせる物語が読みたい方
☑切なく甘いラブストーリーが読みたい方
☑中華風ファンタジーがお好きな方
とても綺麗な物語でした!
主人公は胸の内に熱いモノを秘めているのですが、描写や間の取り方に透明感を感じるため、主人公の激情描写も自然と受け入れられる素敵な描き方です!
中華風ファンタジーだから、後宮ファンタジーだから、というわけではないと思うのですが、掛け合いも含めたキャラの言葉が魅力的と感じます。
掛け合いであれば動作が思い浮かび、ポツリと囁かれた一言ならば情景が思い浮かぶように、つくられた言葉ではなく、その世界にいるキャラが自然と息をはくように綴られているような感覚を覚えました!
短編ということで一つの題材を取り扱っていますが、そのテーマもこの作品の透明感に一役買っており、どのように締めくくるかとても興味をそそられる作品です!
そんな静かな夜に読み耽るにぴったりな物語。みなさんも覗いてみてはいかがでしょうか?