ファイブ ー目覚める剣聖の少女ー

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 高校生の少女、アカリアは通っていた学校からある日異世界へ飛ばされる。

 その先は、異世界グランドネイトだった。


 グランドネイトでは邪神が復活し、暴れているらしい。

 そんな異世界の王女エレノア・メイスは、別の世界から勇者を召喚する事で、邪神に対抗しようと考えていた。


 その結果、一つのクラスにいる高校生たち五人が異世界に召喚されていまったらしい。


「どうか勇者様、我々の世界をお救いください」


 王女がかけた言葉は、よくあるラノベの序盤のセリフのようなものだった。


 それを怪しんだのはカガリという少年。


 カガリは狡猾な大人たちに囲まれて育ってきたので用心深かった。





 アカリア達は、元の世界に変える事ができないため、グランド・ネイトで邪神討伐のために行動する事になる。


 知り合いのいない異国の地でアカリア達のような存在が生き抜くにはそうせざるを得なかった。


 召喚されたアカリア達には特別な力があるらしい。


 ホノカという少女が魔法の力を目覚めさせ、めざましい成長を続けていった。


 アカリア達は王女たちと親交を深めていく。


 しかし、エレノア・メイスは姫乃達と対等な協力関係を築くつもりはないようだった。


 アカリア達を操って、戦わせようと考えていた。


「勇者様たちは、戦いに積極的ではないご様子。ならば、無理やり戦わせるしかありませんね」


 その話を盗み聞いていたクラスメイトの一人、透明化の能力を使用したノミトが、王女エレノア・メイスの話を他の者達へと伝える。







 エレノア・メイスは勇者たちを操るために、洗脳の指輪を用意した。


 そしてそれをアカリア達に嵌めさせようとしたが。


 そのの企みを見抜いたアカリア達は、彼女の策を打ち破り、城から逃亡した。


 魔物を操る魔法を使ったネズのおかげで、翼をもった魔物の背に乗って脱出していく。


「残念です、エレノア様、あなたはこの世界で私達を保護してくれたから良い人だと思っていたのに」

「綺麗事ではこの世界は救えませんので。兵士たちよ、あの者達を捕えなさい!」


 エレノア・メイスの折ってから逃げるアカリア達は、異界の土地を放浪する事になる。







 その後、アカリア達は、とある組織の者達と出会う。


 その組織の名前はカルガン。


 カルガンの者達は、遺跡に残されたメッセージを読み解いてほしいとアカリア達に頼んできた。


 それは異世界から召喚された者が作った遺跡で、カルガンたちには読み解けない言語だったからだ。


「俺達にはお前達の力が必要だ。危険な目には合うが、それでも力を貸してくれるというのなら、最低限の寝床と食事は保証しよう」


 その言葉に嘘はないと思ったアカリア達は、カルガンと手を組む。







 様々な準備と異世界での戦い方を身に着けたアカリア達は、カルガンの者達と共に異世界の遺跡へ入った。


 異世界のモンスターと戦い、遺跡のトラップをやり過ごしながら奥へ向かったアカリア達は、その内部で驚愕の真実を見つける。


「これは、邪神を討伐した過去の記録です」

「なんだって!?」


 読み進めていく中、最も驚くべき内容が書かれていたのは、過去始まりから数えて五度目に行われた邪神討伐の記録だった。


 邪神を討伐した勇者は、命を落としたが、かろうじて死ななかった邪神の力と魂が融合してしまった。


 そして勇者の魂は、邪神のかけらとして異世界に転生したらしい。


 その転生先はアカリアのいる世界だった。


 アカリア達の世界で生まれた勇者は、別の世界の邪神の気配と引き合ってしまうため、カルガン達のいる世界で召喚魔法が使われると召喚されやすくなる。


 勇者には特別な力が備わっているため、多くの者達から期待を寄せられたが、それは元をたどると邪神の力だったという事が明らかになった。


 カルガンたちが驚いた。


「まさかそんな真実が眠っていたとは」






 この世界で討伐された邪神は、地中深くにもぐって力を蓄え。


 数百年ごとに復活するらしいが、勇者が召喚されると、その気配を感じて力が強化されていしまうようだった。


 皮肉な結果に驚くカルガンたちだが、彼らはそこで踏みとどまったりはしなかった。


 邪神を完全に殺す方法を探し求める。


 さらに調査を進めると、その方法が見つかったがそれは厳しい選択をせまられるものだった。


 邪神を討伐したければ、そのかけらを持った勇者が邪神に吸収されたのち、自爆を行う事が最も簡単な方法であると記されていたからだ。






 真実を知ったアカリア達は邪神討伐でどうするべきか悩む。


 召喚された直後と違って、多くの人と交友を結んだアカリア達は、グランドネイゼの人々を見捨てる事ができなかった。


 悩んだ末に彼らが出した結論は、力でごり押しで戦うと言うもの。


 頭を使った形跡がまるでない根性論の戦い方だけれど、友人を死なせるくらいならば彼らはそれを選ぶと言った。


 そうして邪神討伐の戦いへ向かうアカリア達。


 アカリア達は、最後の戦いに臨むが。


 当然戦いは苦戦した。


 多くの戦友たちが倒れていく中、アカリア達は決断を迫られるのだが…。





 そのさなかに、最も邪神の力を強く受け継いでいたアカリアの力が目覚める。


 剣聖のスキルを発動させたアカリアは、邪神の中にある邪神をを構成する核と、邪神と引き合うかけらだけを切り捨てた。


 そして邪神は今度こそ完全に、復活する事なく討伐されたのだった。


 グランド・ネイゼには平和がもたらされる。





 邪神討伐を成した英雄として多くの人から祝福されたアカリア達は多くの者達に見送られながら、元の世界へ帰る事になった。


 それ以降アカリア達の世界から、グランド・ネイゼに召喚される者はいなくなった。


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