第9話 カップラーメン
しばらく頭を悩ませていると、静まり返っていた空間に彼女のお腹から情けない音が鳴り響いた
「……。今の音って」
「な、なんのことじゃ? 妾は神様だから腹は空かないのじゃ!」
顔を赤らめ、頬を膨らませそっぽを向く
昭和のアイドルかよ――
自ら墓穴を掘っていく彼女に冷ややかな視線を送る
「そんな疑いの眼差しを向けおって、お主の腹の音じゃなかろう?」
人のせいにする神ならざる言動に怒りが湧いてくるが、日が暮れ午後に掃除で体を動かしたので空腹感がやってくる
「まぁ、腹は減ったから何か食べるか……。お前は神様だから何もいらないんだな。」
「もちろんなのじゃ!」
まぁ、養うつもりは毛頭ないんだけどな――
そんなことを思いながら膝をつきながら近くの棚に入っているカップラーメンを取りに行く
俺の一人暮らしでの食事事情はあまり華やかではない。一人暮らしを始めた当初は心機一転、気持ちの昂りから自炊をしていたがそんないっときの気持ちの昂りが続くわけもなくすぐにインスタント商品の虜になった。
毎日、同じ動作を何も考えず何も感じず、ただ生きるのに必要だから続けていく。
「ッスー、今日はこれで良いかな」
カップラーメンを手に取り、お湯を沸かし熱々のお湯を注ぎ3分待つ
「ほぉ~それがカップラーメンと言うやつなのか。本当に簡単に出来るのじゃな」
「あぁ、インスタントラーメン系統は作り方が基本同じだし味も保証されてる、食べたいと思った時にすぐに食べれるから最強なんだよ」
だいたい3分が経ち食べはじめる
「美味しいのじゃ?」
「ん? あぁ、そうだな」
たまに味変はするが毎日同じ系統を食べているのであまり意識したことがない。
「妾にも少しよこすのじゃ!」
彼女に目を向けると今にも涎が垂れそうな緩い表情をしながらこちらをみていた。
コイツは本当に設定ガバいな……――
「まぁ、いつも食べてるし少しは、」
「ありがとうなのじゃ!!」
「……」
言い終わる前に感謝を述べられ少し頭にきたが食べかけのカップラーメンを渡す。すると彼女は顔を輝かせ受け取る。
「香りがとても良いのぉ、いただきますのじゃ!」
ラーメン食べる彼女は本当に美味しそうに食べる。麺をズルズル吸わないで食べるのは文化の違いなのか、はたまた食べ方を知らないのか。そんなことを考えながら幸せそうに食べる彼女を眺めていた。
神様は忙しい⁈ ぐうたら @daipen
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