夢があった【前】

人や機械や車でごった返す会場を抜けて車庫に向かう

車の部品をいじっている薄ピンク髪の女が振り返って言う


「あ瑞星もう来たんだ」


「ってデカ!?何があったの?」


「まあいいや、ほらそんなに警戒しなくていいよ、こっちに来て!」


カーリフトに乗った車を見上げて言う


「単ストローク星型循流体筋電エンジン...凄いエンジンね」


「うん、私がイチから作ったんだ」


「あ...それで君に頼みたいことがあるんだ」


「何?」


「私をこの車に組み込んでほしいんだ

そこは貴方の専門でしょ?」


「でもそれをやったらあなた、死ぬよ

それになんで?」


「一度でいいからあなた達戦闘型みたいに車並みの速度で走ってみたかったの!」


「それにその...生き疲れちゃった...かな...」


「...」


「それにほら、やっぱり私には戦って死ぬのは似合わないよ」


「死に方を選べるとこまで私は来たんだよ

その上ここは地区大会、実質世界大会だよ!」


「こっそり忍び込んだんだけど...」


「これが最後ならせめて見たいの車の世界を...ね...

だからあなたを呼んだの」


「うん分かった、いいよやってあげる」


車のスピーカーに向かって話す


「どう?調子は?」


「...いつもより視線が低い?かな!でも最高!」


「それで?これはレギュレーション違反だと思うんだけど...

それにドライバーは?」


「レギュレーション?そんなのこの大会にないよ

それにドライバーはもうここにいるじゃない」


「でも私は...」


「やってくれないの?...」


「分かった、やる」


「よかった!嬉しいよ」


人でごった返すロビーで列に並んで待つ


「次!」


登録カードを出す


「ン...プラグマタか、義体の人は見るが珍しいね」


「はい、それで武器の使用は禁止?」


「いや、使っても構わんよ昔と違って道中物騒だし

出場者同士の戦いもアリだからね」


「ここもそうなんですね」


「ハハハ!さ、誓約書にサインしてくれ」


「それで、君名前は?」


「エリクリソ」


「ほー名前まで変わってるんだな姉ちゃん」


「...」


その後ガレージに戻って車のシートに座る


「ふーんあなたの名前、エリクリソっていうのね

言っちゃアレだけど変な名前だね!」


「それで由来は!?」


「5000年前の船の名前」


「船?」


「眉唾だけど昔の人はあの空の更に向こうに船で行っていたみたいよ」


「ふーん」


「それじゃ私は寝る」


「あなた私たちと同じ機械ベースなのに睡眠をとるの!?」


「...」


時間が流れ朝になり体の装甲を外し車の足回りを点検する

背後から男の声がする


「その子!こう...白い髪のエリクリソとかそんな名前の人が来たら...」


「それ私ですよ」


「...まあいいミーティングだ、ついてきてくれ」


「はい」


廃墟だらけ会場内に建つ人でごった返すバラックに入る

太った男が指さして言う


「それで一般枠はアッチ、特別枠だからあんたはコッチだよ」


部屋に入ると5つの椅子に人が座っている

その中の空いている椅子に座り暫く待つと

係員が来て言う


「全員注目!では説明に入る、このレースは直線レースであり

西地区とその荒野を抜ける全長20キロの中距離レースだ」


「道中野盗や無人兵器、地雷 不発弾などが存在し非常に危険なレースである!

明確なコースはないゴールにたどり着いた時点で優勝と見なす以上!」


「また今回は特別ルールとして全ルールの撤廃がある」


「では質疑に入る、異論がある者は?」


「...」


隣の大男が聞く


「それは何でもありってことか?」


「そうだ!今期のオッズ期待値は高いからな」


「チッ嫌な話だぜ...。」


「他に質問のある者は!」


「...」


「いないな!では、説明終了!各自

自己紹介を済ませておくように!」


大男が言う


「じゃあ席順でいこう、まず俺からだな俺は西から来たローバーだ」


「ほら次はあんただ嬢ちゃん」


「私は魔女です...」


「次...どうぞ」


「北から来たレークよ」


「次よ、ほら」


「出身はここ、名前は伏せさせて貰う」


「次どうぞ」


「ジーです」


(こちらを指指す)


「南から来ました名前はありません」


その後しばらく談笑を眺めた後解散した



















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瑞星のやり残し 大人の名無しさん @kuhhbg

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