変わらない日々

カサカサと落ち葉が舞う中世ヨーロッパのような街並みの道を歩き

大きな洋風の館の目の前に立つ


光学迷彩を使って領主の館に庭側から侵入し

庭が見える日光が仄暗く照らす部屋に入る


「あら?誰かいるのかしら?」


安楽椅子に座った老婆が話す


(超音波の干渉音が聞こえてるの?...)


光学迷彩を解除してドッグタグを出して言う


「こちらを届けに来ました」


「まあ、それはご苦労なことね」


「少し待っててお茶を入れるわ」


座ってお茶を飲みながら対面の老婆を見る


「...」


老婆が顔をそらして言う


「娘の最後はどうだったね?」


「帰郷の折に戦場で破壊され、闘技場で別人が機体を再使用していたので

私が破壊しました」


「そう...」


「楽ではないにしろちゃんと逝けたのね」


老婆が庭を見て言う


「私はね、あの子が好きだったこの庭を仲間たちを守るために

沢山悪いこともしたわ、あの子が帰ってくるのを昼も夜もずっと待ってね

この大嫌いな土地と家柄を抱えて」


老婆が手を取って頭を下げて言う


「でもねそんな私の元にこんな形でも一人娘が帰ってきてくれた

それだけでれしいわ、ありがとうね...小さな兵隊さん」


「いえ、私は感謝されるようなことはしてませんよ」


館の外を見る


(偵察型が1機...コマンド型が1機)


「...」


館の階下から音がする


「おや...何か来たね」


「...」


「あなたは逃げなさい!」


「そうさせてもらいます」


(このまま庭に降りても戦闘になったら庭を荒らすかも...)


テラスから引き返して慎重に部屋のドアを開け

後頭部に格納されたミラーガンで通路の先を見る


そのままドアを開けて2階の通路を走って通路端の窓を目指す

途中の吹き抜けから倒れた人間と2機を引き連れた男を見た


(バイタルがある、倒れてはいるが死んではいない...)


光学迷彩を起動して窓を開けて飛び降りて5点着地で着地して柵まで走る

柵の外に大勢の人間を見て足を止める


(人が居すぎて跳び越せない...)


機関砲から空砲を空に撃って人に向ける


「...」


(退かない...これじゃ穴を作れない、木を...)


そのまま柵を飛び越え木を使って腕のバネで飛び

通りの反対側にある建物の壁に着地する


(レンガ造り...これは貼り付けない)


通りに着地して人波をかき分けて路地裏に入り

壁を蹴って上り建物の屋根から屋敷を見ると

屋敷の前で歓声が聞こえ人々が歓喜していた


(あの老婆は死んだ?のかな、それに後方に二機)


首筋についたナイフを奪って腕を抜け後ろに下がる


「これはお返しします」


ナイフを地面に置いて手を上げて下がる


「それで...お前は何なんだ?賊か?目的は?」


「友達の母親に会いに来ただけですよ」


「じゃあ関係者だなついてこい」


偵察型についていき拠点と思しき家に入り暫く待たされる


「いいぞ入れ」


警戒しながら部屋に入って言う


「この様子だとさながらお忍びの貴族ってとこ?」


部屋の奥の若い男が答える


「そう、だが敬語はいらないぞ」


「それは助かりますね」


「それで、君があの屋敷に居たオートマタらしいが

なぜあんなところに?」


「娘が亡くなったのでドッグタグだけでもと」


「そうなのか...理由は深く聞かない、

だが答えてくれただけも嬉しいよ」


「...聞くことはそれだけですか?私はまだやることが...」


「じゃあ最後に一つ聞く、君は人を殺したり騙したことは?」


「...」


空気が冷えてささくれ立つのを感じる


「いいえ!全く」


「そうか」


そのまま家を立ち去り町を出た


















































  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る