第5話ましろな空間
どのくらい時間が経過したのだろう。
子供がふたりうつ伏せで倒れている。
うぅ、う~ん、どうなったんだっけ。
えぇっ、ここってどこだろ、あぁ~服ないんですけどぉ、おいっ、おいっ、りゅうじぃ、起きろ!
むぅぅ~、なぁにせっかくきもちよくねむれてたのにぃ、ふぁぁぁぁ~~~ぁ。
えっ、ここどこ?まっしろ。
あれ?おねえちゃんだぁれ?
お前何いってんの?おれだよ!おれっ!りゅういち、お前のにいちゃん!
だってぇかみのけだってながいし、それに…
それに?
おちんちんないもん。
えっ、あっ、あれぇ~ほんとだ。
髪の毛もこんなに長い。
龍一と思われる少女の胸にはキラリと光るロザリオ。少女が身体中を見回して確認していると、
あぁ~、ないっ、ないよ?
何が?
おかあさんがくれたろざりお。
ほんとだ、ないなぁ、どこかに落ちてたり?はしないかぁ。
ふたりが辺りを探していると遠くから人影がこちらに向かってくる、しかもひとつしかない人影からふたりの大声が聞こえてきた。
右手と左手が激しく動いているのが遠目で見てもわかる。
ひとりの?いやっ正確にはひとつの身体にふたりいるその人物が少女と龍二の前に仁王立ちしていた。
ふたりともお目覚めの様で何より。
わたくしは天使ミカエル。そしてこのとなりにいるのが…
俺様が堕天使ルシファー!俺様はこの身体が嫌いなのだよ、わかるか、この気持ち。
少女と龍二は顔を見合わせて、
かっこいい~!
美しいハーモニーだ。
おねえちゃん、このひと、ひと?まぁいいや、
おねえちゃんのしりあいなの?
知るわけないだろ!ここにきたの初めてだし。
まぁまぁ、喧嘩をするでないぞ?
そうだ、お前達のためにわざわざ俺様がここまできているのだ!黙って説明を聞け!
任せたぞ!後は頼む。
はいはい、それではこのわたくしミカエルがあなた方に説明をします。
一度しか言わないからよぉ~くお聞きなさいな。
まずこの場所、周りは真っ白な空間。
果てしなく続くこの空間の事をわたくし達はwhitespaceって呼んでいるわ。
そしてあなた達は疑問に思うのよ、こんな場所に、しかも裸で?ってね。
以前、少女のあなたが洞窟で見つけた綺麗な石、あれはわたくしたちの住む世界と現世を結ぶ鍵だったわけ。
あなたがそれを見つけて触った瞬間にロックがゆっくりと解除し始めたの。
そして今回、ふたつの世界を繋ぐ扉が開放されて偶然居合わせたあなた方ふたりをwhitespaceに導いたのよ。
ここまではわかるかしら?
ん~、なんとなくわかるけどさぁ、これって異世界転生ってやつなの?
少女がミカエルに質問すると、
正確には違うけれど、まぁ大体は合ってるかしらね、そしてここからが本題。
本来であればここに来れるのはひとりだったわけだけどふたりになってしまった。
しかもそちらのおちびちゃんはロザリオを失くしてしまった。
由々しき事態なのよ、これは!と言いたい所だけど亡いものは仕方がありません。
そう言うとミカエルが険しい表情になり何やら呪文の様な言葉を発する。
ミカエルとルシファーの身体が光り始めて閃光一線。
辺りに煙がたちこめる、少女と龍二が抱き合いながら震える。
元の空間に戻った時に目の前にはふたりの人物?天使が立っていた。
これでいいわ。
やっと、やっとだぞ!あぁ~長かった、忌まわしき聖戦から今まで不自由だったのに、これでやっと自由だぁ!
ちょっと!ルシファー!これからなのよ?こ、れ、か、ら。
ふたりは目と目をあわせて頷く。
さぁ、出発の時よ!少女、名前がないと不便ね?ん~、
今からあなたはりょう。さありょう?わたしと一緒に来なさい。
龍二、お前は俺様についてこい!
兄弟?が袂を分かつ瞬間がきた。
半べそをかく龍二。
えぇ~、これからなにをするの?
ついてくればそのうちわかるぞ!がはははっ。
ミカエルとりょう、そしてルシファーと龍二。
それぞれが反対の方向へ歩きだす。
兄弟?達、それぞれの運命の歯車が静かに動き始めるのであった。
OLDER broth or sister? MICHIO'Z BLOOD @michio2-blood
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