雨音を聞きながら
神楽堂
雨音を聞きながら
今朝も雨音に起こされた。
学校に行かなきゃ……
私は少し憂鬱になりながらも、
制服に着替えた。
* * *
玄関を開けると、
雨音が大音量で迎えてくれる。
はぁ……
私は傘を広げた。
ポツポツポツポツ……
傘に雨が当たる音は嫌いではない。
今日の雨はこのくらいの強さか……
傘に当たる雨粒の音が、それを伝えてくれる。
* * *
ぴちゃ、ぴちゃ……
私の靴が歩みを進める。
ジャポン……
深い水たまりを踏んだことを伝える嫌な音。
靴下が濡れる。
ああ、またやってしまった……
* * *
ブロロロロ……ばっしゃあああ!!!
車の走行音と、
水たまりの水をはねる派手な音。
この音は恐怖。
登校中に制服をびしょ濡れにされては、
テンション下がりまくり。
雨の日の登校で
この音だけは聞きたくない音。
* * *
通学路にある、トタン屋根の工場の横を通り過ぎる。
ダダダダダダ……
雨音の大合唱。
街路樹の下に入ると、また音が変わる。
パパパ……パパパ……
葉をたたく雨の音。
これは割と好きな音。
この音が聞こえれば、学校はもうすぐ。
* * *
私の通う高校が近づいてきた。
たくさんの生徒の、傘に当たる雨の音が聞こえる。
ポロロ……ポロロ……
私の後ろを歩いているのはサトルくんかな。
パツパツ……パツパツ……
私の右を歩いているのはリカちゃんかな。
傘に当たる雨の音、
そして、水たまりを刺す杖の音を聞きながら
私は歩いていく。
* * *
やっと学校に着いた。
私は白杖を足元に置いてから
傘を閉じ、傘立てを探してそこに立てた。
雨の日の登校は大変だ。
片手に傘を持ち、
片手に白杖を持つのだから。
両手がふさがるのは何かと不便。
* * *
今日も私は、県立〇〇盲学校で、学業に励んでいる。
帰り道は、晴れているといいな……
< 了 >
雨音を聞きながら 神楽堂 @haiho_
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