読んでもタメにならないエッセイ周作塾と言葉の魔力
今回は遠藤周作のエッセイ『読んでもタメにならないエッセイ 周作塾』です。遠藤周作といえば純文学作家として有名ですが、本エッセイでは一おじさんとしての一面を垣間見ることができます。ただ、この作品を読もうと思った方は少し下ネタが含まれるのでご注意下さい。
タイトルのとおり、読んだからといって何か特別なことが得られるわけではないのですが、遠藤先生の日常・考えが面白おかしく書いているので、気楽に読めます。
この中には面白い記述があり、要約すると次のとおりです。
「鏡の前で自分の夢を口に出してみる。そして自己暗示をかける」というものです。
私は最初「なんかトンデモな話だな」と思いました。しかし、同時期に読んだ本『一生折れない自信のつくり方』にも似たような記述がありました。
「ナポレオン・ヒルという人物の本に「成功する前に成功したかのように取り組みなさい」とあったので、自分はセールスの天才だ! と鏡に向かって自己暗示をかけた。それと同時にトップセールスマンならどのように振る舞うかを意識した」
偶然だろう、と思いつつも二人も同じ主張をしている人がいるのだから試してみるか、と考えました。私はネガティブ人間ですので、鏡の前で「自分はポジティブ人間だ」と言い聞かせました。鏡の前に限らず、ネガティブ思考になりそうなときは心の中で唱えています。すると、不思議なことに少しづつではありますがポジティブ思考になってきました。
ここまで、自己暗示についてプラスの側面を書きましたが、自己暗示といいますか言葉には見えない力があります。マイナスの面についても遠藤先生はエッセイの中で書かれています。要約です。
「回復期に向かっている患者に向かって看護師が「週に2日しかお風呂に入ってはいけません」という場面に遭遇した。これでは自信を失ってしまう。言い方を変えて「週に2日もお風呂に入れるようになりました」と言う方が良いだろう」
なるほどな、と思いました。言葉は使い方次第でプラスにもマイナスにもなり得るのです。よく「言葉は刃物」と言います。それと同じようなことだと思います。
私は書き手ですので、執筆する際にはこの話を思い出して、読者が不愉快にならないかを意識して書きたいと思いました。今回はこの辺で。
ふわっとした読書感想文 雨宮 徹 @AmemiyaTooru1993
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