命に至る門狭く

超能力が異常知覚症候群として病理化され、隔離、排除の対象になった近未来。細胞接着分子の電子雲に干渉することにより、視線だけで人を殺すことのできるPK能力者の少女――逆月凛音は、異常知覚研究センターで入院生活を送っていた。凛音はある日、建物裏で煙草を吹かしている不良少女と出会う。白羽真白という名の彼女は見た目に似合わず博識で、ミシェル・フーコーを愛読していた。真白はフーコーの思想を援用し、社会による異常知覚者への抑圧を暴き出していく。

従順な異常知覚者である凛音と、反抗的な態度を崩さない真白。正反対の在り方をした二人の少女の交流を描いた、短編百合SF。

＜参考文献＞
千葉雅也「現代思想入門」講談社現代新書、二〇二二年三月
中山元「フーコー入門」ちくま新書、一九九六年六月
ミシェル・フーコー…続きを読む