第4話

ハルカは絵を描きながら

たくさんの質問を私にしてくれた。

「どこに住んでるの?」

「この前のテレビ番組は見た?」

「ディズニーランドに行ったことある?」

などハルカが質問して

私が答えるということが続いた。

私がどう思われるか

気にして聞けなかったことを

ハルカは遠慮せずに私に聞いてくれて、

聞かれた私も

いやな思いなんてせずに

少し嬉しい気持ちだった。

楽しい、久しぶりに楽しい会話だった。


ハルカは他にも

たくさん自分の話をしてくれた。

猫を飼っている話、

近くのゲームセンターに

よく遊びに行くという話

スイーツが好きという話

運動が苦手だという話

タイピングの速さには自信があるという話

蚊に刺されにくい体質だという話、


ハルカは話が上手で、明るい人で

どうしてこんな人がこんな時間に

こんなところにいるんだろうと

疑問に思ったけれど

私は絶対にそんなことは聞かなかった。

聞きたくなかった。


そんなハルカの話を聞き、

時折相槌を打ちながら

私はリラックスして描かれていた。


ある時、私がふと空を見上げると

もう空というキャンバスもまた

茜色に染まっていた。

もう帰る時間だ。


ハルカは鉛筆を置き、軽く背伸びをした後に

「ありがと!すごく楽しかった!」と

感謝を述べて片付け始めた。


私はこの時間を名残惜しいと思った。

でも仕方がない、時間は有限だ

時間は有限、、、?

今の私には時間なんて無限に近いくらい

有り余っている。

そう考えているとハルカはもう支度を済ませ、

家路につこうとしていた。

もう、終わりか、私はそう思った。

しかし呼び止めるのも何か違う


その時、ハルカは振り向きこう言った。

「またね」

あぁ、すごいなハルカは

たった3文字であいさつと

次の約束をしたのだから

ここで縁は切れることはないということを

たったの3文字で証明してくれた。


私もまた、答える

「またね」

きっと次も会える。

場所も時間も決めていないのに私は

そう確信していた。

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葉桜を見てくれた君 mikasa @mikasa7Library

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