わがまま女王様の奴隷騎士

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第1話 死んだはずの俺が異世界に転生した話


 俺は死んだ。

 それは突然のことだった。学校の屋上から転落して、地面に激突した。その瞬間、俺は何も感じなかった。痛みも恐怖も悔恨も。ただ、空っぽになった。

 死んだ理由は、いじめだった。俺は学校でいじめられていた。ゲームや漫画が好きなオタクだったからだ。いじめっ子たちは、俺を屋上に連れて行って、暴力を振るったり、罵ったり、金を巻き上げたりした。そして、その日も、俺を屋上に連れて行った。そして、俺を突き落とした。

 俺は死んだ。でも、それで終わりではなかった。俺は、異世界に転生したのだ。


 目が覚めたとき、俺は見知らぬ部屋にいた。天井は高く、壁は白く、窓は大きかった。部屋の中には、豪華な家具や装飾品があった。どう見ても、俺の住んでいたアパートとは違う。どころか、俺の知っている世界とは違う。

 俺はベッドに横たわっていた。ベッドはふかふかで、シーツはきれいで、毛布は暖かかった。俺はベッドから起き上がろうとしたが、体が重くて動かなかった。どうやら、俺はけがをしていたらしい。ベッドの横には、包帯や薬が置いてあった。

 俺は混乱した。ここはどこなんだ?俺はなぜここにいるんだ?俺は死んだはずなのに、なぜ生きているんだ?

 そのとき、ドアが開いた。部屋に入ってきたのは、美しい女性だった。彼女は金髪に青い瞳、白い肌に紅い唇を持っていた。彼女は豪華なドレスを着ていて、首には宝石のネックレスをしていた。彼女はまるで、おとぎ話の中の王女のようだった。

 彼女は俺に微笑んだ。そして、甘い声で話しかけた。

「やっと目が覚めたのね。よかったわ。心配したわよ」

「あ、あの……」

 俺は言葉に詰まった。彼女は誰なんだ?俺は彼女を知っているのか?彼女は俺に何をしようとしているのか?

「あら、驚かせてごめんなさい。私はリリカ王女と言うの。あなたは私の騎士になってくれる人なのよ」

「騎士?私の騎士?」

 俺は呆然とした。騎士って何だ?俺は騎士になるなんて言ってないぞ?それに、王女って何だ?この女性は本当に王女なのか?

「ええ、そうよ。あなたは私の騎士になってくれる人。私があなたを選んだのよ。あなたは私のものなのよ」

「選んだ?私のもの?」

 俺はますます混乱した。彼女は俺を選んだと言うが、どういうことだ?俺は彼女に会ったこともないのに、どうして彼女のものになるんだ?

「あなたは、この世界に転生した人なのよ。あなたは、別の世界から来たのよ。私は、あなたが転生したときに、あなたの能力を感じたの。あなたは、私が探していた人なのよ。あなたは、チートと呼ばれるほどの強力な能力を持っているのよ」

「チート?能力?」

 俺は驚いた。彼女は俺が異世界に転生したことを知っているのか?それに、俺に能力があるなんて、どういうことだ?俺はただのオタクだぞ?能力なんて持ってないぞ?

「あなたの能力は......秘密よ。でも、あなたの能力はこの世界では誰にも真似できない能力よ。私は、あなたの能力を使って、この世界を支配したいのよ」

「支配?この世界を?」

 俺は恐怖した。彼女は俺の能力を使って、この世界を支配しようとしているのか?彼女は何を考えているのか?彼女は狂っているのか?

「ええ、そうよ。私はこの世界の王女なのよ。でも、私はこの世界に満足していないのよ。私はもっと大きな力と富と名声が欲しいのよ。私はこの世界のすべてを私のものにしたいのよ。だから、あなたの能力が必要なのよ。あなたは私の騎士になって、私に忠誠を誓って、私の命令に従って、私のために戦ってくれるのよ」

「戦う?命令に従う?」

 俺は拒否した。彼女は俺を騎士にすると言うが、それはただの奴隷だ。彼女は俺を自分の道具にしようとしている。彼女は俺の人生を奪おうとしている。俺はそんなことには絶対にならない。

「やめてくれ。俺は騎士にならない。俺は君のものにならない。俺は自分の人生を自分で決める。俺は自由だ」

「自由?あなたに自由なんてないわ。あなたは私のものよ。私があなたを救ってあげたのよ。あなたは死んだはずなのに、私があなたを生き返らせてあげたのよ。あなたは私に感謝しなさい。あなたは私に従いなさい。あなは私の奴隷よ。いいわね?ワンコ君!」

 俺はそろそろムカついてきた。いったい何にムカついたかって? 俺はMじゃないってことにさ!! 女王様プレイなんてまっぴらごめんだ。俺は生粋のSなんだ!!

「もういい!俺は君の騎士にもならないし、奴隷にもならないし、ましてやペットになんてならないよ!!」

俺は勢いよくベットから飛び出すと同時に、膝から崩れ落ちた。全身に痛みが雷のように響き、床に倒れるほかに選択肢はなかった。

「ふふ、いい眺めね。言い忘れてたけど、あなたの身体まだ全部治してないの。」

リリカは仰向けに寝転がる俺を見下ろしながら言った。いや、見下しながら言った。リリカの眼差しは人間を見るような眼ではなく、まるで仰向けになったカエルをたいそう気持ち悪く眺めるような眼をしていた。

「痛い!身体が痛い!お願いだ、リリカ!身体を治してくれ」

リリカはゆっくりと近づき、仰向けに寝転がる俺の股関にまたがった。

「身体を治したら、言うこと聞いてくれる?」

リリカは俺の胸を人差し指でそっとなぞりながら、魔性の笑みで言った。

「ああ、わかったよ!騎士になるよ!」

「嬉しいわ、これからよろしく、ワンコくん!」

「ああ、よろしく、わがまま王女様」

「ちがうわ。返事はワンよ」

「ワ........ン」

もの凄い屈辱感だ。ほんとうにこの女はビッチだ。ずっと俺の大事なところをお尻でこすってくる。いまにも爆発しそうで、もし、ビックバンのようなことが起きれば、新しい世界が広がってしまう。

「いい子ね。ご褒美をあげるわ。目を瞑って。」

俺は瞳を閉じた。これってもしかして、そうゆうことか?でもいいのか、この女がファーストキスの相手で.........!!......温かくて柔らかい、これが唇なのか。

「いいわよ、目を開けて。」

眼を開くと、彼女の手のひらが俺の唇を覆っていた。

「ふふ、可愛い。もう、元気になったじゃない。」

俺の股関はビックバンしていた。その日から俺は、彼女の奴隷騎士になった。

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