人生を豊かにする本。

@kasago1192

第1話 人生を豊かにする本。

 

「ねぇねぇ、この本読んでみてよ」


「え、なになに、、人生が豊になる本って、、あんたこんなの信じてるの?」


「あははは、信じてる訳ないじゃん! 気になったから読んだだけだよ」


 そう言われ、いかにも胡散臭い本を渡されてしまった。


 私はこの様な本には全く興味がなかったため、友人には読んだと嘘をつき、明日本を返すことにした。


 ――次の日の休み時間。


「ありがとう、この本意外と面白かったよ」


「でしょ、この本のお陰で、私の人生、豊かになっちゃうかも!」


「「あはははは」」


 その日以降、友達の様子がおかしくなっていった。


 急にタバコを吸い始めたり、先生に悪態をついたりで、一緒にいるこっちまで注意されてしまう。

 

 一週間ほど経った頃には、クラスのみんなに”不良”と呼ばれるようになり、恐れられる存在になっていた。


 心配になった私は、友達に「ねぇ、なにかあったの? ストレスが溜まってるんなら、カラオケにでも行く?」と、尋ねたら。


 「オッケー! カラオケ行っちゃお!」


 変なノリで返事をされてしまった。


 

 カラオケについた私達は、とりあえずフリータイムで入ることにした。


 「ドリンクバーはつけますか?」


 「二人分お願いします!」


 「かしこまりました。」


 「……1965号室です、ごゆっくり楽しんでください」


 私たちはエレベーターに乗り、11階にある部屋に入った。


 「ちょっと、この部屋寒くない?」


 「あ、うん、、確かに寒いかも」


 友人は暖房の温度を29℃に設定し、友達がデンモクに入れた曲は「入学」と「17の朝」と「君が君であるために」



 あ、そういうことね。

 この本を読まなくて良かった。



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