鵺斬伝
木々暦
序 海月の骨
海月には骨がない。
つまり、そんなものは存在しない。
世には魔物がいる。
その姿は、あるいは猿であり、あるいは虎であり、あるいはむじなであり、またあるいは
魔物とは、獣である。
畜生である。
人のように言葉を持たぬ獣たちは、長く生きればいずれ魔物となる。
人のように名を持たぬ獣たちは、多くを喰らえばいずれ魔物となる。
魔物とは、獣なのである。
その成れの果てである。
故に、魔物とはすべからく獣の姿を持つ。
猿の魔物がおり、虎の魔物がおり、猪の魔物がおり、むじなの魔物がおり、また蛇の魔物がいる。
だが鵺はいない。
確かに、鵺の
その四肢は虎で、胴はむじな、尾は蛇である。
だが、猿の面に虎の四肢を持ち、むじなの胴から蛇の尾を生やした獣など、存在しない。
つぎはぎの魔物など、存在しない。
そのような奇怪なナマモノなど、存在してはならない。
故に、鵺とは海月の骨なのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます