第32話隠し事
ー前回のあらすじー
元気いっぱいの中二病、朝貝栄一は一週間にも及ぶ地獄の泊まり込み勤務から無事に生還する。そして、泊まり込み勤務のためしばらく一人にしてしまったアイのために本の読み聞かせを行うのだった……。
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(side.栄一)
「んん〜!いい朝だね!」
心地よい朝日に当てられながらゆっくり伸びをする。
フッ、寸分違わず朝に起きることができるとは……我ながら完璧な体内時計だな。
ちなみに、昨日はアイを寝かしつけたあとにリビングで寝た。
少女と一緒に寝るとか完全に犯罪だからね!
「おっと、こうしちゃいられないな、すぐに着替えなければ」
パッと立ち上がり、着替えるためにクローゼットへ向かう。
ふふ、ついに今日は武器選び!カッコイイ武器があるといいな〜。
あっ、そうだ!アイも一緒に連れて行こう!
強い武器について教えてくれるかもしれないし、アイ自身の気晴らしになるしな。
まさに一石二鳥。いや〜、俺って天才かも!
――などと、思っていたのだが
「ええ〜、どうしても行きたくないの?」
「はい。この眼を見られると面倒なことになりますから……」
アイが申し訳無さそうに魔法陣が刻まれた眼を指さして言う。
彼女が言うには俺が思っている以上に邪眼持ちに対しての差別は酷いらしく、邪眼持ちというだけで不当に商品の値段を釣り上げられたり、暴言を吐かれたりとトラブルに巻き込まれてしまうので街には行きたくないらしい。
……カッコイイと思うんだけどなぁ、その眼。なんで皆そんなに嫌がるんだろう。
「…それなら仕方がないな。じゃあ、なにか欲しい物はない?必要であれば買ってくるけど」
俺がそう言うと、アイは少し考えるようなそぶりをしたあとに答える。
「そうですね…。では、動きやすい服と刃渡りが長めのナイフを買ってくれませんか?」
「…ナイフ?」
いや、服とかならわかるよ。今だって俺のお下がりの服を着ているわけだし。
そりゃあオシャレもしたくなるだろう。
でもナイフ?なんで?
「っ!い、いやぁ~、す、すこし料理でもしてみようかと思いまして!」
俺の怪訝な様子を感じたのか、アイが早口で喋る。
すごい量の汗もかいてるし、体調でも悪いんだろうか?
「でも、うちにも包丁あるでしょ?ほら」
「あっ……」
キッチンに行って包丁を取り出す。
うちも料理用に包丁を買っているのだ。料理ぐらいならこれで事足りるはずである。
……ん?なんかこの包丁ひびはいってない?
「なあ、この包丁「と、とにかく私はナイフが欲しいんです!」
俺が包丁のひびについて聞こうとしたところ、慌てた様子でアイが言葉をかぶせてきた。
……この子なにか隠してない?
「……わかった。動きやすい服とナイフだな?買っておくよ」
「あ、ありがとうございます!」
アイの怪しい態度は気になったが、人の隠し事に深入りするのも失礼かと思ったのでこれ以上聞くのはやめておいた。
それに今は急いでるからね!
「では行ってくるよ、
<転移>を発動し、目標地点を街の路地裏に設定する。
フフッ、待っていろよかっこいい武器たち!
「はい!楽しんできて下さい!」
こうして、アイの声を背中に受けながら、俺は街に転移するのだった。
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*あとがき*
読んでくださりありがとうございます!
「面白いッ!」「主人公!」「先が気になる!」と感じた方はぜひ星をください、励みになります!
ついに春がやってきました。桜が楽しみですね。
設定27ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
主人公は一応包丁を買ってはいますが、おかゆ以来一度も使っていません。
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悪役好き、異世界にて悪役ムーブをかます! ひょっとこ仮面 @kirakira007
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