最後の人踏ん張り後編
その夜ヤコブ寝かしつけた大人達は話していた。
「私ももう長くないと思います、私が死んだらだれかヤコブを引き取ってくれませんか?」
「あんたねそんな無責任なこと言うんじゃないよ」
ルートヴィヒが提案した案は自分が死んだらヤコブを引き取って欲しいとの願いでありそれに対し若菜が無責任なこと言うなと注意をした。
「それなら、私が引き取ります」
「長久さんありがとうございます」
「それで良いの長久?」
「確かに自分だって少し心配するし君たちが心配するのもわかるでもね一旦誰か名乗りをあげないとどうするの、ヤコブ君を施設に引き渡すの?」
長久がヤコブを引き取ることに名乗りをあげた。女子陣は長久に対し心配の声を挙げたが長久は確固たる信念で引こうとしていなかった。
「それでハノーファーあの話はいつ話し始めるんだ」
「なにそれ?」
「分かりました皆さん落ち着いて聞いてください」
マシュマロを焼いていたときに師秋、久武に話していたことを他の人達にも話すかルートヴィヒは少し悩んでいたが久武の一押しで話し始めた。
「師秋さん、久武さんには先程話しましたがヤコブは貰い子なんです」
「え、嘘どういうこと?」
「つまらない冗談はあまり言わないで貰いたよルートヴィヒ」
話を聞いていた二人以外は混乱していたがルートヴィヒは続けた。
「私がイギリスに渡って3年目の休暇中オランダの孤児院から引き取りました」
「道理でたまにしっかりとした発音のオランダ語がヤコブ君の口から聞こえたわけだ」
師秋が一言発した以外は黙りこくってしまったが急に瑠菜が一言あげた。
「分かった、長久が引き取っても良いけど今回みたいに定期的に皆で集まろ」
「うんでも可能な限りだよね」
「当たり前じゃん」
定期的に可能な限り皆で集まることになり少し落ち着いた空気が流れるなかルートヴィヒが昔話を始めた。
「ヤコブの昔話をしてもても良いですか?」
「聞きたい」
「ヤコブの細かい出身地はあまり分からないんです」
「どういうこと?」
「例えば日本だと何県出身かあまり分かってないんです」
「でも孤児院の職員さんから聞いてないの?」
「聞きましてけどあまり分からないんです」
ルートヴィヒは1拍おきココアを飲み続きを話した。
「あの子の出身地かもと言われている場所は大体四ヶ所もあります」
「四ヶ所も!?」
「はい、ベルギーのアウデナールデ、ワーテルロー、オランダのフローニンゲン、アムステルダムです」
「結構南北に分かれるね」
「そうなんです、周りには分かりやすいように引き取ったオランダのアムステルダム出身としています」
「ルートヴィヒさん他に何と言われたんですか」
「あの子の両親は恐らく自害しています」
「許せない」
「瑠菜さん落ち着いて聞いてください恐らく自害の理由は貧困です酒や薬に溺れて死ぬくらいだったら息子を孤児院に預けて死のうと」
「そんなことが」
事実孤児院の職員がヤコブの両親がアムステルダムで住んでいたアパートに確認をしに行ったがすでに首を括っていた両親の姿があったとことが職員から伝えられたとルートヴィヒは話す。
「ヤコブは良い施設に引き取られたと思います」
「何故、そう思う」
「オランダが先進国と言われているのもそうなんですが政府などのサポートが手厚いこともあるでしょう」
「だが少し、いや大分むず痒い」
「どうにか出来ないかと思う久武さんの気持ちは分かります」
いつも久武は誰かの参謀役買ってでおり仕事以外では正面から自分の意見を正面から言うことは珍しく少しルートヴィヒも少しヒートアップしていた。
「皆なんか二人とも少しヒートアップしてない」
「うん、久武はいつも静かめだから変な感じ」
「こういうの見れるの少ないからね」
「俺は久武にもう少しオープンに行って欲しいかな」
「水瀬は豪快すぎるんだよ」
「そうね、水瀬は少し落ち着いて物事を見た方がいいよ」
議論が少し加熱しているなか他の五人は熱くなっていた二人を見ていたが長久が声を挙げた。
「二人ともそろそろ寝ようよ」
「もう、こんな時間か」
「そうよ、ルートヴィヒは特に身体弱っているんだから」
「それでは皆さん今日はおやすみなさい」
夜が明けた二日目ヤコブは水瀬と初日と同様に二人ではしゃいでいでおり今日は木の実でアクセサリーを作っている。
「水瀬さんこれどうやって作ったんですか」
「この部品をドングリのてっぺんにさして、ひもを通して結ぶだけ、簡単でしょ」
「簡単ですけどちょっと力が必要ですね」
そうしてヤコブは何分か力のいるパーツで苦戦しつつもアクセサリーが出来上がってとても嬉しそうに舞い上がっていた。
「見てください綺麗に出来上がりましたよ」
「やば滅茶綺麗じゃん」
「良くできてるね」
水瀬とヤコブが作ったアクセサリーを見て全員が嬉しそうな顔をし自分も自分もと作り始めた。
「力の調節が難しい」
「確かに久武が力込めてやったら木の実割れちゃいそうだよね」
「よいしょ、できた!」
各々好きな形で作り上げ自分達が考える最高傑作を作り追える頃にはお昼になっていた。
「皆、お昼ごはん作ってきたよ」
「やった、焼おにぎりだ」
「ヤコブ、焼おにぎりは味噌をつけて食べると美味しいぞ」
とルートヴィヒがヤコブに焼おにぎりに味噌をつけて食べるように促しそれで食べ始めると美味しいと笑顔で微笑むヤコブがいた。
「お父さん達、昨日と今日は楽しかったね」
「そうだな、楽しかったな」
「また皆で来たいね」
「来れるといいな」
ヤコブのまた来たいと言う言葉に暗い表情をしながら来たいと言うルートヴィヒ出会った。
「師秋さん達また今度会いましょう」
「じゃあねヤコブ君また今度」
川 奥ノ院坊丸 @musashinokuni
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