最後の人踏ん張り前編

久武や水瀬達が忙しく中々ルートヴィヒと会えず再び会えたのはルートヴィヒが日本に戻って一年後であった。ルートヴィヒは通院先と連絡をとり特別なケアを紹介して貰い皆でキャンプをすることになった。

「お父さんどこ行くの?」

「お父さんの友達と一緒にキャンプをしに行くんだよ」

「僕も行けるの~?」

「うんそうだよ」

電車で約束場所の氷川駅まで向かうと先に待っていた若菜が声をかけた。

「ルートヴィヒさんいくら病人と言えど遅刻は許しませんよ」

「すいません」

「きついなら最初から言ってください予定の変更も家からの送迎もしますから」

「分かりました」

「ルートヴィヒが遅刻なんて珍しい」

「お父さん怒られてる」

「ヤコブ君はあまり遅刻しないようにね」

「分かった」

ついて早々若菜に怒られてしまうルートヴィヒであった。

「まぁ早く行こう」

「そうね」

そこから長久の車と師秋の車で目的のキャンプ場に向かっている時に色々話が盛り上がった。

「そういえば長久車変えたんだ」

「いやあのフェアレディZは皆乗りきれないでしょ、だから親父の車借りてきたんだけど」

「そうなんだ機会あったらフェアレディZものせてよ」

「あるといいね」

「あの二人、話してるところ申し訳ないんだけど今日昌信君来るから宜しく」

「了解」

若菜から昌信が後から合流することを伝えられた。一方師秋の車では久武の後悔が語られていた。

「なぁ久武向こう行かなくていいのか?」

「彼には申し訳ないからね」

「何で?」

「外国の人だからって急に外国に派遣して久しぶりにあったと思ったら癌を患っていたし」

「それは向こうも申し訳ないと同時に有り難いと思ってるよ」

「何でそうなる」

「連合だった時期はどうしたら活躍できるか相談受けたし海外派遣で活躍の場所を責任感のある地位に置いてくれてありがとうって」

「そうなんだ」

「そうだよ最後ぐらいは一緒に楽しまないと」

ルートヴィヒに申し訳ないことをしたと言っている久武に師秋は慰め、過去にあったことを話はげますのであった。車を走らせること約一時間目的であるキャンプ場には先に昌信が到着していた。

「昌信さんお待たせして申し訳ない」

「いえ大丈夫ですよ楽しみましょ」

そうしてテントを設営し周りを少し少し散歩することになった。

「この時期の湖は紅葉が映えますね」

「インスタ映え、インスタ映え」

「この歳になってもやるんですね」

「心はjkだもん」

「瑠菜、今はいないけどもう息子と娘がいるんだからそろそろやめときな」

綺麗な景色を見てウキウキで子供のようにはしゃぐ瑠菜にヤコブは日本の秋の景色を見たことが無かったのかとても興奮している。

「ヤコブこれが日本の秋だ」

「すごいや海外と違う」

「そんなに違うんだ」

「高層ビルがロンドンとベルリンは日本ほど無いからな」

湖周りの散歩終え自分達のキャンプスペースに戻りこれからやることを決めた。

「ねぇお父さんこれから何するの?」

「焼き芋と焼きマシュマロしようか」

「やった」

「じゃあ私達は夜の支度済ませたら行くから」

「えー、久武さんと師秋さんも参加してよ」

とヤコブのおねだりで久武と師秋も参加することになった。

「じゃあ、焼き芋は皆が戻ってからね」

「分かった」

焼き芋は皆でやることになりまずは少しだが焼きマシュマロをし始めた。

「久武さん私に活躍の場をくれてありがとうございます」

「そんな、良いよ」

「ヤコブと出会てのもあなたのお陰です」

「え、どう言うこと」

ルートヴィヒの言葉に何故か驚く師秋と久武である。

「ヤコブ、コップとクッキー貰ってきなさい」

「はーい」

ヤコブを少し遠くにやり

「ヤコブは貰い子なんです」

「そうなんだ」

「はい、私が孤児院から引き取ったんです」

「やっぱり」

「気付いてたんですか師秋さん?」

「うん、でもヤコブ君と皆来そうだから夜話そ」

「分かりました」

師秋には心当たりがあったヤコブはほとんど英語とドイツ語にしか触れたことしかないはずなのにたまにオランダ語らしき単語が聞こえたからだ。

ヤコブ達が戻ってきてから焼き芋を始めた。

「ねぇ、煙すごいよ大丈夫?」

「こういうものだから大丈夫」

「絶対甘いだろうね」

「ねー」

焼き芋が出来上がりそれぞれ取り分け芋を頬張る。

「甘い!」

「お父さん今度家でも作ってよ」

「それは難しいけど買うことはできるかな」

「それでも良いよ」

「水瀬さん美味しいですね」

「あぁ、最高傑作さ」

水瀬とルートヴィヒ親子は甘い焼き芋がで歓喜の声を挙げた。

一方で他の参加メンバーは一歩離れたところで微笑ましそうにルートヴィヒ親子と水瀬の事を見ていた。

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