稚魚達への布石

水瀬が結婚して1年後後師秋の家に集まり集会を開催している。そこには久武と正家、溝口童子の姿が見られた。

「質問なんだけど僕ら死んだら何遺す?」

「家と金と働き口」

「私も水瀬に賛成かな」

「私も」

「私も」

「まぁらしいっちゃらしいか」

「てかどうした?体調悪いのか?」

「大丈夫」

とまだ全然寿命はあるが将来自分らの子供達に何を遺すかの話題になったが師秋のことを心配するのであった。

「そうだ瑠奈懐妊だってよ」

「まじかおめでとう」

「パーティーだ」

「いつでもパーティーするわけないでしよ」

「そうだよ」

「そうだなでもおめでとう」

「私も来年子供産まれるの」

「千尋もおめでとう」

少し重苦しい空気が流れたと一瞬流れたと思ったが直ぐに師秋と千尋からとてもおめでたいニュースを教えてくれた。

「ねぇ名前どうするの?」

「女の子だったら燐男の子だったら師直かな」

「なんか二人っぽい」

「可愛いし格好いい」

「千尋はどうするの?」

「女の子だったら夏芽で男の子だったら重望かな」

「良いじゃん」

「良い名前だと思うよ」

産まれたらどのような名前をつけるのか話題になり言い名前の案を提示するのであった。そんなとき師秋の携帯に2件の通知が入った。

「師秋、携帯」

「あぁありがとう」

千尋に声をかけられ携帯を手に取り通知の中身を確認するとそこにはとても珍しい名前からのメッセージがあった。

「ねぇルートヴィヒ来週から1月くらい和に戻ってくるって」

「まじ?!やった」

「ルートヴィヒ帰ってくるの!?」

1件目のメールの中身はイギリスで仕事をしていたルートヴィヒが急遽1週間後に日本1度戻ってくると言う内容であった。もう一件のメッセージは莉央の弟昌信からのメッセージであった。

「もう一件来てたけど心して聞いて」

「何?」

師秋の発言内容に全員不思議そうな顔をして師秋の方を向いた。

「昌信君から」

「えっ莉央の弟の?」

「うん」

「何て?」

「昌信君に第一子が誕生したって」

「要は莉央の甥っ子てこと?」

「うん」

「後今度一緒に飲み行こって」

「全然」

「大丈夫」

「俺らも行って大丈夫?」

「一応確認のメール送ったから待ってて」

昌信からのメールがとても久しぶりであり中身も第一子の誕生とのメールにとても驚きその場は狂乱状態になっている。そんななか師秋は昌信に電話をかけようとしていた。

「もしもし昌信のみいく話だけど」

「参加してくれる?」

「うん久武と正家参加しても良い?」

「武屋久武と後藤正家のこと?」

「うん」

「いいけどあんまり昔の話しないで欲しいかな」

「分かった」

「後もう一人誘っていい?」

「いいよ楽しみにしてる」

電話口で聞いている限り少し昌信が悲しそうな声をしてたが深くまで聞けずにいた。それから一週間後約束の居酒屋に入るとすでに昌信は待っていた。

「久しぶり昌信くん」

「お久しぶりです」

「千尋と瑠奈は最近めでたいことがあったから親戚と一緒に家で待ってもらってる」

そう師秋が話すと昌信はふてくされ二人に会いたいと言い出したのだ。

「まぁ明るい二人が居ないからちょっと寂しい感じはするよね」

話が一段落したところで正家と久武、童子が急に立ち上がり謝ってきたのだ。

「もういいんですよあいつらと関わってたあなた方を許す気にはなりませんが事件にあまり関係ないと聞いて、あまり深く関わってない人に謝られるのは」

その言葉を聞いて三人は座りしゅんとしていたが昌信が続けてこう言ってきた。

「あなたが社長の会社のタレントさんの動画見ました、とても面白かったです、だからその面白さを天国にいる姉に未来に残して下さいお願いします」

と酒が入っていたのか本心を吐露し今にも泣きそうになっていた。

「なぁ昌信今仕事探してんだろ」

「うん」

「そうなんですか?」

「最近の不況で会社をクビにされてしまって貯金と家族が遺してくれたお金でやり繰りしてたんですけど」

そう昌信が言うと1拍おいて久武と水瀬がほぼ同時に声を発した。

「「じゃあうちの会社来ない?」」

「え良いんですか」

「さっき言ったみたいに最近の不景気で中途採用の応募が多くてね昌信君の信念が定年まで持つなら採用する価値はある」

「俺もそう思う」

「ありがとうございますこれで子供のために色々残せる」

昌信は泣きながら感謝の意を示すと早速日本鉄道とうみりに中途採用の応募をしてくれた。

2日後今度はルートヴィヒと会うことになり指定された場所にいった。

「ここ私が日本で一番お気に入りの場所です」

と奥多摩まで連れて行ってくれた。

「二年ぶりの日本ですね」

「千尋さんも瑠奈さんもお元気ですか?」

「はい」

「良かったです久武さん私を社長にしてくれてありがとうございます」

「どうした急に」

ルートヴィヒは何処か悲しそうな雰囲気で皆に話しかけている。

「私をもう余命が長くないので社長の座をシュタイナーに譲りました」

「後何年生きられる?」

「もって二年と言われました」

皆の顔から自然と涙がこぼれしばらく泣いてしまった。

ルートヴィヒの家に行くとそこにはルートヴィヒの息子がいた。

「ほら自己紹介しなさい」

「ルートヴィヒ•フォン•ヤコブです」

ルートヴィヒの息子の自己紹介を聞いた後ルートヴィヒのなぜ余命宣告されたのかを伝えてきた。

「私癌なんです」

「そうなんだ」

「だから死ぬまで一緒に楽しんでください」

「一緒にね」

「連絡でもう一度イギリスに戻るみたいに言いましたが死ぬまで日本に居ることにしますドイツの家族には遺言は遺しました」

その日は今後どうするかを決めて解散した。

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