疲れ切った女家庭教師、そして彼女に手を差し伸べた紳士の数奇な癒しの物語

主人公、ロビン。
彼女は女家庭教師として身を立てていましたが、家庭にも恵まれず頼る相手もおらず、それから仕事も失い、追い詰められて疲れ切ったひとりの女性です。

この時代に仕事を持って働いているだけでじゅうぶんすごいと思いますが、彼女はその恵まれない境遇からか、すっかり自信を失っており、仕事もなかなか見つからず卑屈になっています。

そんな時に容姿端麗で身分もあるひとりの男性、フレデリックが手を差し伸べてくれます。ロビンに仕事をくれるというのです。

ロビンは彼の領地、ヨークシャーへ。
フレデリックは子供がいないにも関わらず、ロビンが教えるための子供を探してきてくれます。
え、なんで? と思うでしょうが、これには理由があって……

一筋縄ではいかないことももちろんありますが、大自然や温かい人々、何より心優しいフレデリックに癒されていくロビン。

情景描写が素晴らしいです。
後半、物語が回収されていくさまも素晴らしい。
緻密に練られたこのお話を、皆様もぜひ。

おすすめの一作になります。

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