第10話
俺たちが向かったのは大型ショッピングモールの中の今日のメインである杖が売っている店、魔道具店。ここらじゃ、かなり有名なブランドの魔道具店。
店に入ると様々な色の宝石がついたアクセサリーのような物が置いてある。
魔法は杖以外を使用しても使うことができる。というのも魔法は魔石という宝石を媒介としており、使用する際に形の指定はない。指輪であったり、ネックレスであったり様々な物に魔石を埋め込むことで魔法が使用できるようになる。杖が好まれているのはネックレスなどのアクセサリーと違いサイズの大きい魔石を使える為、より強力な魔法を使えるからである。
「魔法の威力や発生速度は杖の性能でかなり変わる。ここのやつはかなり質がいいからどれを選んでも今より魔法を扱いやすくなるはずだ」
そう言うと
「ちょっと選んできます」
と雪葉は杖がある方に駆けていき、店員に声をかけて商品を選び始めた。
俺はそんな雪葉を後ろから眺める。雪葉は真剣に商品を見て、一つを選ぶと俺の元に歩いてきた。
雪葉の手には薄い水色の透き通る大きな魔石を元にした杖が握られていた。雪葉は暫くの間、目を輝かせながら杖を眺め、買うか悩み
「これどうでしょうか?」
と聞いてくる。
俺は杖を受け取り魔石の質を確認する。
魔石は水色で魔石の奥が見えるくらい透き通っており、かなり高純度の魔石であることが伺える。魔石のサイズが他の杖よりもかなり小さく、10円玉程度の大きさしかないが雪葉のレベルなら丁度いい。
「うん。いい杖だ。純度が高いから少し慣れるのに時間がかかると思うけど、これなら多分15階層くらいまで使えると思う」
と太鼓判を押す。俺はその杖を雪葉に渡して、
「じゃあ、これで決まりだな」
と言うと雪葉は嬉しそうに顔を綻ばせる。杖を会計に持って行こうとすると
「待ってください。これは自分の武器なので自分で払います」
と雪葉に手首を握られ止められる。
初心者冒険者がそんな金持ってると思えない。借金とかするつもりなら俺が出した方がいいし。
「いや、でもな…、そうだ。これは俺からの入団祝いだ」
と俺が提案するが
「で、でも…」
と雪葉は遠慮する。
「これで早く強くなってくれれば俺も楽になる。俺を助ける為だとでも思ってくれていいよ」
俺がそう言うと雪葉は少し迷った後、
「わかりました。ありがとうございます」
と頭を下げた。その後、会計を済ませ、店を出る。
値段は1本30万円。
杖の相場は安いもので3万円。高いものだと1000万円を超えるものもある。
冒険者になりたてにしては高いが、これから一緒に戦う冒険者への初期投資として考えれば全然安い。
学生としてだとかなり高いが、特に理由もなく貯めていた貯金があるので問題はない。
店から出た俺は杖を雪葉に渡す。雪葉は大事そうに杖を抱えて
「本当にありがとうございます」
と微笑む。俺は雪葉の笑顔につられて頬が緩んでしまう。なんか雪葉は守ってやりたいと保護欲が湧いてくる。
「とりあえず、これで買い物は終わり。予定通りこの後は少しダンジョンに潜るか?」
「はい。お願いします」
彼女は杖を見て頬を緩めながら返事をする。
「じゃあ、30分後ダンジョンに集合で」
そう提案すると
「えっ、30分後ですか? このまま行かないんですか?」
と意外そうに聞き返してくる。俺はなんでもいいが。
「雪葉、服はそのままでいいのか?」
そう聞くとハッと自分のラフな服装に気づいて自分が浮かれてすぎていたことに頬を赤める。
「あっ、そうですね。着替えてきます」
と答える。
「渡したばかりで悪いけど杖は預かるよ」
と手を差し伸べる。
「よろしくお願いします」
彼女が手渡しした杖をぎゅっと握る。
「先行ってる」
そう言うと彼女は
「はい!急いで着替えてきます!」
と勢いよくギルド向けて走っていった。ある程度の距離まで見送って俺はダンジョンまで向かった。
学校では普通の俺がダンジョンで助けた少女は学校のアイドルだった〜元最強ギルドの剣士はダンジョンでも学校でも充実した生活を送りたい〜 吹雪く吹雪 @hubuku_hubuki
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