EP17.「アンブレラ(前編)」

ミナセと合流後、二人で話し合った結果、第三街区公園のイベントモードを立ち上げて、広範囲攻撃の取得を目指すことにした。イベントモードの参加者募集ページを見ていると、ちょうど範囲攻撃を使ってくるモンスターとのレイドバトルの募集があったので、参加させていただくことにした。



「このたびはよろしくお願いします」

レイドバトルの募集リーダーへの挨拶を行う。見た感じ十数人集まっているので、そこそこ楽が出来そうである。だが、僕達の姿を見て募集リーダーはかなり慌て始めてしまった。




「あっ、あっ、不束者ですがよろしこうねがいます・・・!」

どうやら緊張でかんでしまっているらしい。別に歳もそんなに離れていないのであるからと。思いつつ、改めてレイドボスの事前情報を見る。



[難易度 :☆???

 制限時間:0:45(休憩5分を含む)

クリア条件:規定時間内に敵HPを0にすること

 撤退条件:身方全員が同時に戦闘不能になること

 特殊条件:MP消費量減少・負傷ダメージ軽減]


何だこれ、難易度表示が不明なのも気になるし、休憩時間が制限時間に組み込まれているのも気になる。特殊条件もこちら側が有利になる内容・・・。今までに見たことのないレイド条件だな。弱点耐性も分からないと言うことは恐らくは今までに戦ったことのないボス敵・・・。



「なるほど、これは大物だな」


開始までにまだ時間があるので今のうちに装備や、レイドチャット等の展開を含めた準備をする。





───1───



「時間だな」

レイドボスに参加している唯一の盾使いシールダーのギンレイが範囲防御を展開しながら時報をあげる。それと同時に空にヒビが入り中から、今回のレイドボス─名前は“アンブレラ”─と表示されている傘を持ったアリス人形のようなモンスターがふわふわと降りてくっ、予告線!?



『ライジングアンサンブル』

とっさにスキルを発動して迎撃を行う。直後、雨のように弾幕が空から落ちてくる。


「みんな油断するな『水龍剣 流水演舞』」

ミナセが追撃用に飽和攻撃を仕掛ける。だが、それでも防ぎきれない弾幕はギンレイの範囲防御でなんとか止まって地表にまで攻撃が来ることはなかった。



<これ、何回も食らったらさすがに防ぎきれないぞ>

レイドチャットから手足もでなかったであろう剣士職から嘆きのようなボイスチャットから聞こえてくるが返事をしている余力はない。

高さ5~6mのところで落下だ止まり、通常攻撃であろう弾幕が飛んでくる。まずいな、飛び攻撃メインの僕ならともかく、ミナセは今回は出番はあんまりないかもな。って何を考えているんだ、攻略法を考えないと。



「ユイノ、傘を狙い抜けるか?」

ミナセが刃を敵に向けているが何かを考えているようであるが、取りあえず射程を定めてみることにする。距離、600、角度60、なるほど狙撃可能だな。タブレットを操作して狙撃用のライフル銃を取り出す。


地球自転および、磁場重力射撃反動による誤差修正マイナス0.0001、弾丸装填。

『アクセルシュート』

弾丸加速の追加攻撃を付与して引き金を引く。



「何をぼさっとしてる、避けろ!」

レイドリーダーが防護用の遠隔スキルを発動するのと同時に予告線が視界いっぱいに広がる。

「成る程、面白くなってきた」

左手のクイック操作から緊急回避用のボムを取り出し、目の前で炸裂させ敵の攻撃をブロックする。と同時に敵にも弾着、傘部分の一つに穴が空く。

「高度は下がるがダメージ判定は無し・・・本体に攻撃を当てるのが先か引きずり落とすのか先か・・・。」


ライフル銃のクールタイムの間にクイックボムを補充して、敵の動きを見計らう。

<今こっちも攻撃して見たを感じ、傘部分に攻撃を当てればその分高度は下がるみたいだが、狙撃しそうとすると、相打ち目的の攻撃が飛んでくるな。しかも相当早い奴。狙撃スキルモーション発動中はアイテムメニューも開けないし、単独での狙撃は危険かもしれない>

もう一人の狙撃士スナイパーが苦言を上がる。ちらっとレイドメンバーリストを見ると、確かに体力バーが一瞬赤色域まで減ってから体力回復を受けたのであろう、緑色範囲まで戻っていくのが見える。

「そんなこと言っても地面に落とさないとまともに攻撃できないぞ」


再び狙撃モーションを起こして傘の部分を狙い始める。

<ユイノだっけか、そこまで言うなら相当の自信が在るみたいだな・・・だったら一人で打ち抜いててくれ、ウチはその間に本体を攻撃しておくから。相打ちで脱落なんてごめんだね>


少し言い草が気になるが、一人でやってた方が余計な報復攻撃を考えなくてすむからやりやすいのは事実だな。

「ミナセ、援護を頼む。周りにいる小敵まで注意は払えない」

レイドエリアでも普通にわくモブ敵は存在するのでそれが少し厄介なので直接ボスに攻撃出来ないミナセに対応をお願いする。


「分かった、ついでにボスの反撃も迎撃してみるよ」

さてと、集中できる環境も出来たし、一発派手な奴を打ちますかね。


『雷砲 グランサンダー』

炸裂と高速化の効果を付与した雷弾を発射する。それと同時に予告線が再び視界いっぱいに広がる。が、直後にミナセがボムを発動してくれて予告線が消える。だが、その後に聞こえたのは予想外の言葉であった。


<誰か救急車を呼んでくれ!連れが流れ弾で腕が打ち抜かれたみたいで!>

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2024年12月27日 06:00
2025年1月6日 06:00
2025年1月16日 06:00

ARゲームでの出来事が現実[リアル]でも起きるので試しにスキル行使をしてみた 幻想鉄路局 @tetudoutyousatai

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