先見の異能で知る麺麭という未来の食べ物が宮中を救う

先見の才を持つヒロインが、未来の食べ物、麺麭を後宮で作り上げ、帝や従事する妃や同僚に振る舞うことで、自身の生きがいを見つけ出すサクセスストーリー。
その安寧な生活に至るまで、祖母の術師の能力に嫉妬する術師が起こす呪による凄惨な事件で両親を失い、幼馴染に呪詛か掛けられ、その事件を秘匿する為、祖母の機転で記憶を喪失され、且、祖母の持つ先見の才を引き継ぐも祖母が身を隠す間、ヒロインの魂の相棒である九十九が祖母の身代わりとなるが、ヒロインが気付いたときには、自分には九十九がいない存在と知り、周囲から蔑まれながらも、祖母と慎ましく生活していた。ある時祖母を訪ねた邪眼を持つ美丈夫な官吏に祖母と思われていた人物が、ヒロインの九十九であると見抜かれ、祖母の本体が呪で眠らされているとその九十九から打ち明けされると、官吏からその術を解くのは帝の九十九であろうと言われ、彼の勧めで帝に近づく意味合いもあり、宮女として働き、後宮内で起きた呪詛による殺人事件に巻き込まれながらも、焼いた麺麭が呪詛祓いの一役を担い、事件解決へと導いていく。その過程で、後宮入りを勧めた美丈夫の官吏と恋仲となるが、全ての呪詛が祓われ、喪失された記憶を取り戻すと、幼き頃慕っていた幼馴染こそその彼であったと、実に面白いラブストーリーでもあったと思います。
只、敢えて言わせて頂ければ、九十九の存在が必要であったのか、また、九十九の存在説明が少ないと思えてなりませんし、九十九自体が、人型であったり、神獣の類であったりと、千差万別と、しかも前例になく、九十九同士が結ばれると、正直呆れを想えてなりません。