断頭台の露と消える魔女の話
熱狂する衆人環視のただ中を、重い足を引き摺り、私は歩く。
見下ろす両手と、引き摺る足には枷が嵌められている。
後ろから、兵士が槍の石突で私を小突き、さっさと歩けと怒鳴りつける。
時折り、観衆から私に向かって石や卵が投げつけられる。
見渡す人々は口々に、魔女に裁きを、と叫んでいる。
……そう、私は魔女。
今では皆んなから、そう呼ばれている。
……私は貧しい農村に産まれた。
当然、私の家も貧しかった。
貧しいながらも、私は両親から愛され、慎ましく生きて来た。
10才になる前、聖導教会の司祭様が私を迎えに来た。
私の身体には聖華の三女神様の祝福である聖痕があり、その力を人々の為に活かすのだと、そう言った。
あの時の両親が心から喜んでいた顔は今でも覚えている。
両親が喜んでくれた事を、私も喜んだ。
そして私は修道院へと入り、そこで勉強と修行に勤しんで、神官になった。
一人前の神官になった私は、聖王国の各地を巡り、人々に三女神様の教えを説き、貧しく力無い人々の救済の為に奔走した。
そんな生活を6年も続けていると、人々は私の事を聖女様と呼ぶようになった。
初めてそう呼ばれた時は面食らってしまい、ただただ慌ててしまったけれど。
いつしかそれも当たり前のようになって、私もなにかを錯覚してしまったのだろう。
ますます精力的に活動するようになった。
きっと、それが良くなかったのだ。
私はただ、人々の為に尽くして来た、そのはずだった。
どうしてこうなってしまったのだろう。
一歩ごとに近づいてくる断頭台、ついにその台に登る階段へと足をかける。
台を登り切ったところで、私は覆面をした処刑人に乱暴に掴まれて、断頭台の首枷に据えられた。
罪人のように跪く私の傍で、司教様が声高に宣言した。
これより魔女を処刑する、と。
一瞬の静寂の後、人々の歓声が沸き上がる。
あぁ、私はこんなにも憎まれていたのだな。
司祭様の高々と掲げられた右手が振り下ろされる。
嫌な音を立てて重いギロチンの刃が落ちてくる。
人々の怒号。
それらを聞きながら、私は走馬灯を観た。
私が修道院に入ってから修行に明け暮れ、聖女と呼ばれて人々を救済し、魔女と呼ばれて断罪され断頭台にかけられるまでの物語を。
(なおこの続きは特に考えていない)
聖華駄文 ただの思いつきを垂れ流すだけの代物 T.K(てぃ〜け〜) @rebl
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