ha・na・da

𓆩⋆𓆪‬ 𓆩꙳𓆪‬ 𓆩⋆𓆪‬ 𓆩꙳𓆪‬ 𓆩⋆𓆪‬ 𓆩꙳𓆪‬ 𓆩⋆𓆪‬‬ 𓆩꙳𓆪‬ 𓆩⋆𓆪‬‬ 𓆩꙳𓆪‬


 解決の鍵を持つ、優しい眼差し。


𓆩⋆𓆪‬ 𓆩꙳𓆪‬ 𓆩⋆𓆪‬ 𓆩꙳𓆪‬ 𓆩⋆𓆪‬ 𓆩꙳𓆪‬ 𓆩⋆𓆪‬‬ 𓆩꙳𓆪‬ 𓆩⋆𓆪‬‬ 𓆩꙳𓆪‬



 食糧庫を出た後も、出口の印を探すかたわらで、この会社と社員たちの情報をひたすら探した。

 探せる場所は、すべて探した。でも、私の欲しい情報はどこにもなかった。


「休まないで、くまなく探すよ。アンタだって帰りたいでしょ?」


 アヤサキは、そう言ってニッと笑った。


「次はここ。資料室だ。さあ、入ろう。」


 資料室か……。

 ここなら、欲しい情報も見つかるかもしれない。


 そう思うと、不謹慎なのは承知の上だけど、胸が踊った。

 正直なところ、出口の印なんてどうでもいい。きっと誰かが見つける。


「――誰だね?」


 資料室の戸を開けると、部屋の奥から声が聞こえた。会議室にいた中年男性だ。優しく見守る眼差しが好印象だった。


「なんだ、アヤサキくんじゃないか。おや、君は会議室にいた……。見かけない顔だが、アヤサキくんの友だちかね?」


「は、はい。同じ部署の……。」


「そうか、そうか。印を探しに来たんだろう? 好きに探すといい。ちょうど、ここから出るところだったんだよ。」


「ハナダ課長。二階から順にくまなく探していますが、まだ見つかっていません。タカハシさんは、三階に行きました。」


「そうか。わたしはここから探し始めたんだが見つけられなかった。だが、見落としがあるかもしれん。」


「課長も一緒にどうですか?」


「いや。疲れたし腹も減ったんでな、飯にするよ。それに若い人たちのほうが、上手く見つけられるだろう。もしかしたら、真実にもたどり着くかもしれん。」


 そう言うと、ハナダはゆったりと部屋から出た。


「……分かりました。じゃ、始めよっか。アタシは奥から調べるよ。」


 アヤサキはちょっと首をかしげると、足早に入って奥から調べ始めた。

 私もアヤサキの後を追って中に入ろうとしたそのとき、ハナダに肩をぐっと掴まれ、口を塞がれた。


「君がアヤサキくんと同じ部署の社員ではないことは分かっとるよ。さすがに、自分の部下くらい、把握しているからな。そもそも、君はうちの社員ですらないだろう? だがな、君はおそらく、我々の切り札になる。だから今は、アヤサキくんと行動を共にしなさい。彼女は企画部だ。君は、企画部の新入社員だということにしておくといい。」


 私が、切り札?


「そうそう、君が探しているものは入ってすぐ右側だ。君なら見つけられるだろう。なあに、持ち出しても構わん。」


 そう言うとハナダは、私の口を塞いでいた手を離し、掴んでいた私の肩をぽんぽんと叩いて、去っていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ha・ko・ni・wa 福子 @295no3po

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ