エピローグ
見慣れているはずなのに懐かしい。
目を覚ました
「……そうか。俺、帰ってきたのか……」
身体を起こし、三年前とまるで変わらない自室の姿に安心する
夢だったのか、それとも夢ではなかったのか。
「……いい経験になったな」
寂しいという気持ちは勿論あったが、それでも残ったものがあった。母の用意してくれていた朝食を摂り、バスと電車を乗り継いで学校へ向かう。いつもの時間、いつもの通学路。しかし
教室に入ってからも、それは続いた。
いつもと何も変わらぬ日常であるはずなのに、見るもの全てが輝いてみえる。以前は全てが色褪せ、下らないもののように見えていたのに。
あちらの世界での経験は、彼の世界を色鮮やかに変えていた。当初は恨みもしたものだが、成程、例の痴女には礼の一つも言わなければならないかもしれない。夢が見つかったかどうかといえば、そういうわけではないけれど。それでも、これから先の人生ではもっと色々な視点で夢を探せそうだと、そう思えたから。
ともあれ、まずは今日から始まる試験を乗り越えなければならない。物の見方が変わったからといって、試験がなくなるわけではないのだから。
「……?」
ふと、
試験に対する準備も万全だった筈だし、違和感の正体はまるで理解らない。なにかあちらの世界でやりのこしたことがあり、それが心のどこかで引っかかっているのだろうか?しかしそうはいっても、思い当たることなど何一つなかった。
暫く頭を悩ませたところで、彼は考えたところで理解らない疑問に蓋をした。いつも通りにこなせば何も問題はないだろう。
そうして
そうして返却されてきた試験の答案用紙を見つめ、
答案用紙を握りしめ、逃げるように校舎の裏へと向かう
「……俺の知能下がったままじゃねーかよ!!」
結局あの痴女は、一体何がしたかったのだろうか。
いくら考えても、答えは出なかった。
MPの代わりにIQを消費する世界で しけもく @shikeshike
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます