終わらない日常、そして最後の日常

いつもと変わらない朝が訪れる。それは文字通り、幾度となく繰り返している3月10日の朝だった。
ひたすらループする時の中で「わたし」は学び、成長する。明日訪れる危機に立ち向かうために。しかし、明日が訪れることはあるのだろうか。

ループする日常の中で、葛藤し、絶望し、繰り返しが続くことを願う主人公の姿が切ない。彼女の望みと無力感は誰もが味わったことのあるものだ。
日常の細やかな描写がやがて壮大な物語へと広がっていくタイムリープ小説の佳作。