第10話
「はぁ…何と愛らしい姿なのかしら……」
うっとりとアリナ様が見つめる先には…アリナ様の愛猫、ヤオンが日向ぼっこをしていた。
「アリナ様は本当にヤオンがお好きですね」
「えぇ、猫…いえ、動物には愛を注がなければ」
ふふ、と微笑む彼女は……自分の胸を高鳴らせるのに充分過ぎた。
俺・ルーはアリナ様に引き取られた日からずっと、彼女に恋をしている。
確かに、毒を盛られた時は正気かと思った。
けど、ちゃんと謝罪もした(びっくりした)。
彼女は、院長と違って良い人。
「ルー。いよいよ貴男を国家暗殺部隊に入隊させれる
「……いつ、ですか」
国家暗殺部隊。
それは、リュア国の敵となる者は如何なる者でも国家の為に暗殺をする部隊だ。
影で暗躍…なんてことは無く、条件を満たした者ならば誰でも入隊試験を受けられる。
「来月の17日ですわ。…本当に、宜しいのかしら」
「はい。アリナ様の指示に従うのが、
本当は、嬉しくない。
アリナ様が、ローズやフィンの恋人になる…そんな事、充分有り得る。
リュア国では一妻多夫(一夫多妻も)が認められている。
つまり、俺以外のローズ・フィン、そしてアリナ様で夫婦となる…それだけは、絶対避けなければ。
「アリナ王女!是非とも私と結婚を!!」
「しつこいですわよ、ミルティオ」
私に求婚をするのは、許嫁である王家と親族である貴族の…ミルティオ・ホーリー。
「そんなところも愛してる!」
「はいはい、分かりましたわ」
いつものように適当にあしらい、ヤオンの毛並みを整える。
「フナァ…」
「ふふ、気持ちいいですわね〜」
「ところで…ルー達は?」
「あら、ルー達を知っていたの?」
教えたっけ?
「風の噂さ!」
「あ、そう…」
「特にルーは私の部下になりそうだからね!」
「…ミルティオ、貴男そういえば国家暗殺部隊の総隊長でしたわね」
「忘れていたのかい!?」
ガーン、と落ち込むミルティオ。
「…ルーだけを依怙贔屓しないでくださいね、ミルティオ」
「もちろんさ!」
数秒後
「私と結婚してくれ、アリナ!」
「だから嫌ですわ」
悪役令嬢に成りましたので悪役らしく過ごします 中太賢歩 @YAMI_SAKURA
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