裏側なんかじゃ、ない。


別作品「国民的アイドルを目指していた私にとって社交界でトップを取るなんてチョロすぎる件」のスピンオフとして書かれた本作。

別作品の方もかるくご紹介しましょう。
傷つけられたアイドルが、異世界に転生します。
そこにはもちろん芸能界はなく、歌手もなく。
普通の、といってよいのか、ともかく伯爵令嬢として転生し。
だけど彼女は持ち前のパワーと明るさで切り拓いてゆきます。

さて、本作。
伯爵令嬢が現代日本に、しかも傷ついたアイドルに転生して……。
そう、つまり、上述の別作品の、裏なのです。

へえ、そういえば転生された側の人格って、どこにいっちゃうんだろう。
そうおもって、皆さん本作をご覧になるでしょう。
とっても、興味深い主題です。
わたしもそんな気持ちで読み始めて。

違う。

裏側なんかじゃ、ない。
サブストーリー、スピンオフなんかじゃ、ない。

こういう場所で、作者さまのことを言うのは、違うとおもうけど。
反則だと思うけど、でも。

作者さまの、空を見る目線。
ずっと前にもおもったことがある。
しんとした夜、天を埋める星を見上げてる。
遠く遠くを、ずっと見てる。
それがこのおはなしの作者さまの、わたしにとっての最初のイメージ。

なんか、久しぶりにその横顔、拝見した気がする。
主人公に、上をみてごらん、立ってごらん、っておっしゃって。
背に手を当てて、とん、って、ステージに押し出して。

光。

裏側なんかじゃ、ない。
決して。

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