最終話
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純白のドレスは美しい絹と繊細なレースで作られている。纏めた髪の上に乗るティアラには綺麗なベールがついていて、それが遮る視界に幸せを感じた。
建て直された中央教会の扉の前まで移動して、開かれた先へ足を踏み入れる。神父が立つ壇上の前にいるのは深い青の瞳を持った黒髪の青年。純白のタキシードに身を包んだ彼が私を待っている。
お父様のエスコートで彼の元へ少しずつ進んでいく。旅の仲間が、この国の友が、たくさんの来賓が私を見ていて少しの緊張と強い幸福があった。
「…幸せになるんだよ」
彼の元まで辿り着いた時、お父様はそう言って私を手放す。それだけで少し泣きそうで、まだ宣誓もしてないのにと必死に堪える。
「…誓いの言葉を」
神父の静かな言葉に私たちは一つ息を置く。たくさん練習したけど間違えないかしら…。
「「私たちは、本日この場にて結婚を宣誓します。ともに病める時も健やかなる時も互いのそばにあり、支え合い、両国の代表であることを忘れず…目一杯幸せであることを誓います」」
「では指輪交換の後、誓いのキスを」
向かい合った彼に左手を差し出す。彼の手が私の手袋を外して、二人で選んだ新しい指輪を嵌めた。私も同じように彼の左薬指に指輪を嵌めて、とうとうベールが外される。
「…これからだって、何があっても逃さないよ」
「そうして。貴方になら捕えられても良いわ」
互いの気持ちを確かめ合って一瞬のキス。
巻き起こった拍手は会場を包み、私たちの新しい未来を祝福してくれた。
「きゃ!」
急に彼が私を姫抱きにする。背中の翼を伸ばして宙に浮いた。
「ナターシャ、このまま魔国へ行こう!」
「どうして!?」
「こんなに幸せなんだもの、僕の両親にも報告しなくちゃ!」
「…しょうがないわね」
私の渋々の承諾でも彼は喜んでくれる。そのまま直したばかりの教会の扉を破って空へ舞い上がった。
「急ぐよナターシャ! しっかり捕まっててね!」
「落としたら許さないわよ!」
「安心して、絶対落とさないから!」
そうして彼の翼は魔国へと風に乗る。
まだ全てはここからだと言うのに。
終
魔王と私の絶対結婚宣言 三日月深和 @mikadukimiwa
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