鈍色の重石がのしかかる。


 私が中学二年生の頃に、担任の先生から贈られた衝撃的な言葉。
 その言葉は今もなお、私の心の底に重くのしかかる……



 エッセイとも物語とも言い難い、告白文のような作品でした。

 物書きには広く明るい方向へ進む人と、狭く暗い方向へ進む人がいて、おそらく「私」は後者なのだろうとも思われました。
 だからこそ、いつまでも鈍色の言葉を忘れられず、むしろ大切に秘めておこうとすらする。

 どちらが正しいというわけでもありません。
 文学作品と呼ばれるものは「人物の心情」に注目することから、「舞姫」や「こころ」「羅生門」など、明るい終わり方をしない作品も少なくない。
 人生は多かれ少なかれ「不幸」があり、人にも多かれ少なかれ醜い側面があるわけですから……

 誰に向けたかすら分からない告白。
 共感となるか、関心となるかは読む人次第です。