トウシしちゃう

アオヤ

トウシしちゃう

私は夢を見た。

それは6年前の晩秋頃の夢。



 私は彼を駅で待っていた。

その日は凍える様な寒さで手袋をしていない私は手が冷たくなって、もう指先の感覚が無くなっている。

今にも凍死してしまうんじゃないかという状況だった。

だが、私のポケットの中にはなんと一億円の当選番号の宝くじが入っている。

それを今から換金しようと思い、一緒に行く約束した彼を待っているのだ。


トコトコトコと目の前に妖精の様な女の子が現れて私に語り掛けてきた。


「えへへへ、今日はトウシしそうな寒さだね。お姉さんのポケットに当選くじが入ってるでしょう?それを彼じゃなくて金融機関にトウシして。未来のアナタからのお願いだよ」

女の子は一言残して行ってしまった。




 私はそこで目が覚めた。

6年前の私がそんな不思議な体験をしていたのを思い出した。

あの時は寒くて夢か現実かわからなかったが・・・

きっと未来の私からの忠告だったのだろう。


結局、今の私はトウシしそうな日々をおくっている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

トウシしちゃう アオヤ @aoyashou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ