これが令和の『美女と野獣』〜ひたむき剣士のヒロインとこじらせ男子たち

 野獣の姿にされてしまった王子を、恐れることなく心から向き合える者がその呪いを解くことができる――『美女と野獣』を彷彿とさせる設定ですが、この作品のヒロインは剣に秀でたつよつよ女子。一方で王子は、呪いへの苦しみと彼女の隙のないたたずまいから、どうも弱腰に接してしまう。そんな二人は呪いに立ち向かおうとするが…?

 ヒロインのリリーは、ぶっきらぼうな言葉遣いながら身内や友人たちを思いやる、凛とした中にも熱い感情を持つ少女。そして、王子の身を守るためにあらゆる手段を尽くそうとするひたむきさがあります。
 その魅力に、彼女を取り巻く男性陣は秘かに恋心を燃やし、時にはちょっとアウトかも!?なくらいのフライングをしてくることも。

 タグに「ハッピーエンド」とついていますが、想像通りのハッピーエンドに本当にたどり着くの?とハラハラさせられ通しです。

 舞台は18世紀ロココ調(ドレスをフランセーズと書く作者さんのこだわり!)のヨーロッパを思わせます。華やかで色彩豊かな世界をイメージさせる描写、登場人物とくに脇役の人々の切ない心情も丁寧に描かれているのがとても魅力的です。

 ディ◯ニーのように夢があり、かつ今どきのウェブ小説としてアレンジされた素敵な作品です。