第4話

 帰宅後、俺はメイドロイド取扱店を片っ端から当たった。

 しかし、どこも似たり寄ったりなわけで。

 貧乏家庭ではどう足掻いても手が出せないような、びっくり金額を提示されることの繰り返しだった。

 購入に係る補助金制度がないか学校や自治体に確認してみたが、メイドロイドの購入は対象外らしい。

 そりゃそうだ。だって普通の学校じゃ、まず必要ないもんな。

 しかも、この時期は皆が一斉に購入する繁忙期。

 入荷待ちのところも多く、在庫がある店を探すことすらも困難だった。


「ヤバいな……」


 そんな絶望的な状況に意気消沈しながら、俺は隣町の商店街を歩いていた。

 大手販売店が難しいなら、個人経営で取り扱っている店とかないかなー、なんて淡い期待を抱いて探しているけど。

 見渡す限り肉屋や八百屋、布団屋など、どう見ても昔ながらの商店街って感じで望みはかなり薄そうである。

 とりあえず、近場にメイドロイドを取り扱っている店がないか、スマホで検索してみる。

 結果は――0件ヒット。

 ですよねー。


「はあー、こんなところにメイドロイドを売ってる店なんかあるわけないよな……」

「なんだい、兄ちゃん。メイドロイドを探してるのかい?」


 俺がクソデカため息をついていると、後方から威勢の良い声で話しかけられた。

 不意の声掛けに驚きつつ振り向いてみると、ザ・肉屋のおっちゃんって感じの人が溌溂はつらつとした笑顔でこっちを見ていた。


「えっと。はい、そうなんですけど」 

「それだったら、近くにそういうの取り扱ってる店があるから、そこに寄ってみたらどうだい?ちょっと古臭い店だけど、今も営業してるみたいだぜ」

「本当ですか!?」


 救世主の如く現れたおじさんの思わぬ提案に、俺は食い入り気味に聞き返す。


「その店の名前って分かりますか!?」

「あー確か、『萌堂本舗』っていう店だったかな」


 萌堂本舗? 聞いたことないな。

 まあ、ダメで元々か。

 少しでも可能性があるならそれに賭けるべきだよな。


 俺はその店に行くことを決め、おじさんに大まかな場所を教えてもらった。


「情報提供ありがとうございます!俺、ちょっと行ってみます」

「お安い御用だ!見返りと言っては何だが、今度、うちの肉買っていってくれよな!」


 あ、本当に肉屋の人だったんだ。


「分かりました!今度、寄らせてもらいます!」

 

 俺は肉屋のおじさんに大きく手を振りながら約束し、その場を足早に去った。

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俺の駄メイドロイドは初めてを知り、やがて恋をする~メイドロイド育成学校に入学したが、相方がポンコツすぎて、俺しかお世話していない件について~ 蒼野ソラ @ksk0123

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