景華のエッセイ~すべての小説家へ、そして読者の皆様へ~

景華

感謝を込めて──


「生きることは、できますか?」


 それだけ聞くのが、精一杯でした。



 どうも、景華です。

 かげはなって読みます。

 今回は私が小説を書き始めたきっかけ、書く意味をしたためたいと思います。


 未知のウイルスが日本にも襲来してきたと騒がれ始めた2020年。

 私の身体はおかしなことになっていました。


 きっかけは娘の妊娠。

 その検診で、たんぱく値が通常の数十倍もあり、調べたところ腎機能が著しく低下してしまって、通常の半分以下しか機能できていなかったんです。


 県内の病院を転々として、最終的にきちんと調べなければと言うことで、腎臓内科の先生が常任されている隣の県の大きな病院へと転院が決まりました。


 その時は他県からの往来自粛も呼びかけられているなかで、他県ナンバー狩りというのもあり、毎回ビクビクしながらの通院でした。


 そして最初の診察で言われました。


「おそらく、ネフローゼ症候群でしょう」


 ……なんぞ?


 すぐに調べたら腎臓の病気の一つで、投薬治療で寛解できるものらしく、治るということに私は少しだけ安心しました。


 ただ確実に病名を確定させるには、腎生検という、腎臓を細長い棒のような器具で刺して一部を採取してから検査するという検査を受けなければなりません。

 調べれば調べるほど恐怖しかない!!

 だってなんか長い棒で突き刺すんですよ!?

 拷問じゃないですか!?


「覚悟を決めろ、男だろう!?」

 私の中の私が言ってますが、私、女ですから!!


ただし当時妊婦の私にそれをすると危険だということで出産を待って身体が回復してから、という判断になりました。


6月。

これ以上は母体が危険だということで予定日より1ヶ月も前にMICNへ入院し、3日後促進剤で2日苦しみ抜いた末、ギリギリの血圧で出産しました。


 そして2020年11月。

 腎生検の日が決まり、私は一人ぼっちで入院しました。


 感染症指定病院のため特に厳しく、面会はウイルス対策で禁止。

 入院の日ですら付き添い禁止でした。


 朝から絶飲食。

 昼からの腎生検というスケジュールになりました。


 ビクビクしてるなか、同室の方がいきなり痰の吸引中に痰が詰まって呼吸がとまって部屋が大騒ぎに。


 看護師さんたちも皆集まってパニックに。

 処置室がやっと空いてその方が移動されるまで、ずっと怒号や名前を必死で呼ぶ声が飛び交って、私まで不安に。

 というか不安になりすきて涙が出ました。

 泣きすぎて血圧めっちゃ上がりました。


 あの人、喉の手術をしたばかりで声が出ないからスケッチブックで昨日まで元気に会話してたのに。



 不安になりながらも時間は待ってくれなくて、その時はやってきました。


 腎生検前から点滴を深めに刺して、筋肉注射も刺して……。

 筋肉注射、めちゃくちゃ痛かった……!!


 ストレッチャーに乗せられてグルグルと院内を移動。

 これが本当に気持ち悪い。

 グロッキー状態になりながらも腎生検室へ。


 うつ伏せで数回背中と脇腹から深く麻酔を打たれる。

 これもめちゃくちゃ痛い。

 もうこの時点で私、穴だらけです。


 効いてるのか効いてないのかよくわからない状態で、細長い棒を左背中からぐさりと刺されました。

 もうこの時点で意識を保つのに必死です。

 気絶するわけにはいかぬのです。

 意識が無ければ、この後息を止めることができないから。

 息を止めねば、細胞を吸い込めないから。


 息止めてーと言われて止めた瞬間にガンッと大きい音とともに強い衝撃がきて、身体が跳ね、まるで拳銃にでも撃たれたような感覚に陥ります。

 いや、これ本当。

 撃たれたことないけど多分こんな感じです。

 この衝撃と、臓器持っていかれてる感覚が痛すぎる。


 これを3回。


 のはずが、2回失敗されて5回刺して撃たれる事に。



 たぶん麻酔完璧に効いてないぞ、ってくらい痛い。



 ウイルス対策でマスク必須のうえ、上からシーツかぶされて過呼吸にもなりましたし、もうしたくないです。腎生検。


 その後しばらく看護師さんが変わるがわる私に乗っかって圧迫止血して、また病室に。


 体は翌日の昼まで仰向け。

 足は21時まで動かせない。

 私は夜通し患部の痛みと、痛みからくる発熱と、一人で戦うことになったのです。



 数日入院して、退院しても息をするだけで腎臓が痛くて、家事も何もしたくなくて、いっそ楽にして、ってずっと思っていました。


 そして腎生検の結果が出ました。


 腎臓、かなり壊れてるみたいです。


 IgA腎症。

 原因不明で、しかも指定難病の病気らしいですのよ。

 自分を守るはずの免疫が自分の腎臓を攻撃してるみたいです。


 目の前が真っ暗で、でもウイルス対策で病院付き添い禁止だから、一人で話を聞くしかなくて。

 でも言葉がうまく出てきませんでした。



「生きることは、できますか?」


 それだけ聞くのが、精一杯でした。




 治療のために3日間ステロイド点滴の為に入院して、その1週間後にまた3日間ステロイド点滴の入院をすることになりました。

 その後は服薬治療です。


 それで改善しないなら透析。

 腎移植も勧められたけど、さすがに腎臓ください!!とか家族に言えん。


 2020年、過酷すぎる。

 ちょっとだけ、心が折れそうでした。


 でも生きなきゃいけない。

 だから私はステロイドパルス入院を2度行いました。


 副作用で夜は1時間も眠ることができず、ずっとお腹は空きっぱなし。

 しかも全身に皮疹までできて、皮膚は赤紫に変色してしまった。

 顔は副作用で腫れ上がってまん丸になってしまったし……。

 この時が1番辛くて、何度ももう嫌だと投げ出したくなりました。

 今はなんとか元のお顔に戻ってきましたけれどね。

 一応女性ですから、やっぱりパンパンに膨らんで赤紫になった自分の顔を見るのはかなりきつかったです。


 今、私は徐々に薬の量を減らすことができて、若干副作用もおさまって、腎機能も横ばいです。

 通院も、三週間に一回だったのが、六~七週間に一回になったし。

 ただそれでもじわじわと進行はしていて、進行したり落ち着いたりの繰り返ですけど。


 ステロイドは免疫力を低めてしまうから、ウイルスにかかりやすくなってしまいますが、それでもなんとかやってきてます。


 ただ、やっぱり考えるのです。

 もし何かあった時。

 私は何を残すことができるだろうか?


 ずっと考えてたどり着いたのが『書くこと』です。


 数回にわたる入院中もWeb小説にとても助けられました。

 ウイルス対策で面会もない中、小説だけが私の唯一の楽しみであり、【色のある世界】でした。

 孤独で白黒だった【世界】に色を与え新しい【世界】にして、心に寄り添ってくれたWeb小説。



 中学生の頃は書くのが好きで、いつの間にか忙しさに追われて書かなくなってしまった物語を、もう一度始めようと思いました。

 あの頃は小説なんていう地の分がしっかりあるものではなくて、脚本のようだったものを、自分の言葉で、小説に起こしたくなったのです。


 生きるために。


 それは、今連載している「人魚無双」にも現れているかもしれません。


 冷たいようで誰よりも優しい愛する人のために、何があっても「生きる」ということに執着した主人公・神崎ヒメ。

 しっかりと努力と挫折を経験し、苦しくても推しの幸せのために真っ直ぐ諦めずに突き進む変態少女です。


「誰も死なせない。でも誰かを助けるために自分が死ぬことは絶対しない」という考えは、私のその「生きる」という気持ちからもきているような気がします。


 生きている証を刻みたくて。


 誰か一人にでも私の小説が胸に届いたら、それは私の生きるということなんだと思います。

 もし私が思うように身体を動かせなくなったとしても、誰かが読んでくれた私の紡ぎだす物語が、私の生きた証になる。

 そしてそれは、私がいなくなったとしても、寂しんでくれる誰かの心を温め、照らしてくれるでしょう。


 まぁ、楽しく書かせていただいてる時点で生きてるしこれからも生きるだろうって感じしてるんですけどね!!

 最終兵器、腎移植も諦めてはいないですし!!


 最後になりましたが……。


 私が読んだものの中には、その後書籍化された作品もたくさんあって、部外者ながら嬉しく思っております。

 書籍化されていなくても、自分の思う物語を今も紡ぎ続けてらっしゃる方もいて、いつも応援しております。

 

 今更一人ひとりにその節はどうも……と言って回るのもあれなので、こちらから。


 テンプレであっても、非テンプレであっても、なんでもいい。

 プロもアマチュアもどっちでもいい。

 正直、そんなもん関係ないです。


 あなたが紡ぐ物語が、誰かの心を守ることがあるんです。



 だから、誇っていい。


 あなたの物語が、私の中にいます──。

 誰かの中にあります。


 

 全ての小説家さんへ


 全ての物語へ


 感謝を込めて──。



END


―あとがき―


皆様おはこんにちばんは!!

景華です!!

けいかじゃないよ。かげはなだよ(*'ω'*)


いつもポンコツ景華をいじって絡んで踏んづけて愛してくれてありがとう!!

そして初めましての方は、これからどんどん絡んでくださいまし!!


このエッセイは実話でしてな。

今まさに、戦ってますのんよ。

減薬しているとはいえ、時々身体がつらくなったり、腎臓の機能の低下なので身体がだるくて仕方がない時もありますが、気合で元気はつらつ生きております( ー`дー´)キリッ


それができるのは、作品を読んでくださる皆様、SNSで絡んでくださる皆様がいるからなのだと思います。

一人じゃ、絶対に前向きにはなれません。

元々陰キャネガティブなので(笑)


ただね、SNS見ていたら、自分の感情の押し付け合いをよく目にします。

自分の正義の押し付け合いは、なんだかもったいないなぁって思うのですよ。

自分は自分の正義があっていい。

自分の思うがままに描くのが創作です。

でもそれを押し付けてしまうと、自由な創作が失われてしまいます。


作家の皆様。

あなたはあなたの思う物語を紡いでくださいまし。

そして読者の皆様。

あなたの好きな作品を読み続けてくださいまし。

おもしろいな、好きだな、と思ったら、それを作者に伝えてあげてください。

作家にとって大きな大きな力になりますから。


ぁ、エッセイに出てきた人魚無双、次から最終章になりますんで、良かったら……よかったら読んでやってくださいまし(*'ω'*)

https://kakuyomu.jp/works/16816927861725277840

そして面白かったら、景華に教えてください!!作品フォローしてやってください!!☆してあげてください!!←


そして昨年作家デビューも致しまして書籍も出ております。

今年も出ます。

私の作品も、どうかあなたの心を照らす一つになりますように。


それでは皆様!!

これからも楽しみながら生きましょうぞ!!


景華

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