桐生炭祢の依頼

新たな依頼

 黒墨親子の依頼完了してから数日。廿月たちは何でも屋で平凡な暮らしをしていた。

 彼は、のほほんと机を掃除し、近くには悠輝が本棚整理をしている。


「この前はハラハラしたなぁ」

「あぁそうだな。まさか能力使いが他にもいたとは。オレちゃんびっくりだよ」

 悠輝は銀髪の男に話しかける。男はにっこり笑いながら返答した。


「でも、旧友のボディガードで良かったね。違っていたら大惨事になっていたことだよ」

「全くだな」

 彼らは大声で笑い合う。


 目の前には電話をしている霧山さんの姿。廿月たちは誰と話しているか気になっていた。

「そういえば、霧山さん。さっきから長電話しているな。誰からだろう」

 悠輝は社長の様子をみている。


「……奥さんとか?」


 つかさず、廿月は答えた。


「いや、奥さんはさすがにないだろ。この人が結婚できるか?」

「できると思うけど。だったら彼女さんとか」


 はつきは返答をした。


「うーん。確かにできそうなところはあるけど。それも違うんじゃないかな」

 否定する悠輝。廿月はゆっくりと腕を組む。

「じゃ誰なんだろう」

 廿月達は真剣に悩んでいると、ちょうど社長は電話を切り、悠輝達の方向に歩き出す。


「お、頑張っているな。すまんな。仕事といえど同じところ掃除ばかりやらして」


 霧山は廿月達に話しかける。銀髪の男は「そんなことは」と言い、手のひらを左右に揺らして口を開く。


「いえいえ、良いですよ。気にしてません」

「ならよかった。この前は仕事持ってきてありがとうな」

「良かったですね、霧山さん。久しぶりに依頼が来て」


 男二人でしばらく話していた。


「ああそうだな。これも悠輝と廿月のおかげだ。給料アップはできないが、なにか高いおやつを奢っても良いかもな」

「それはいいのですが、お金は大丈夫でしょうか?」

 廿月は心臓をバクバクさせながら、声を出して、質問してみる。


「なに、心配するな。これは副業で本来の仕事は結構儲かっているんだ」

「え? そうだったんですか?! 知らなかったです……」

 廿月はふぅーと息を吹き、安心する。

「まぁ、この仕事はボランティアに近いから、依頼こなくてもいいんだが、二週間もこないとさすがに来るモノはあるな」


「そうですね。給料もないと俺達もきついですし」

「給料は本業から出すから問題ないとして、また来てほしいな」

 霧山達が話していると、悠輝が話を割り込んでいた

「ところで、霧山さん、さっきの電話は誰から?」


「あぁ、黒墨くろすみさんだよ」

「黒墨さん?! いつの間にか電話交換を」

 目を丸くして、悠輝は大きく開けていた。まるでウィンピィのようだ。


「いやー。お前達がいない間に彼女と意気投合して、友達になったんだ。ほら、一緒に娘さんとケーキを食べていただろ? その時に話しかけたんだ」


「描写が少なすぎて訳が分からない。ていうか、手を出すの早いな」

「いやいや。仲良くなれば仕事が増えるのかなと思って話したら、思いのほか、馬が合って 」


「馬が合ったから、これからも関係を続けていこうと思ったんですね」

 廿月が会話に割り込んで入ってきた。

「そういうこと。これで仕事も安定してきそうだな」


 がっはっはと笑いながら、廿月達を見る霧山社長。


 すると、何でも屋の入口からガチャと開く音が聞こえる。


「こんにちは。やっていますか?」

 何でも屋から男性が現れた。 コートに長ズボンと全身黒の服装をしている。顔は女性に好かれそうなイケメンで、清潔感のある。


「こんにちは。もしかして依頼ですか?」

 廿月は男性を丁重にお迎えする。


「えぇそうです」

「でしたら、そちらにかけてお待ちください」

 銀髪の青年はお客さんを椅子へ座らせすように案内。

 

「まて、廿月。ここは私が」


 霧山は廿月を差し置いて、依頼条件を聞くために、コーヒーを持ちながら、テーブルの近くのソファーに座る。

 依頼人も霧山のいる反対側のソファーに腰をかけた。

 

 コーヒーの入ったコップ二つを霧山は置く。

「ありがとう」と依頼人はコップを手に取る。

 


「えーとお名前は」

桐生炭祢きりゅうすみねです」


「なるほど。桐生さん。どんなお依頼で」


「はい。ここには有名な保育園ってあるじゃないですか」

「あぁ、あのシュペルノヴァの」


 社長は真剣にお客さんと話している。


「なぁ、はっきー。シュペルノヴァってなんだ?」


 悠輝は親友はつきに質問する。彼はきょとんとしていた。


「俺も名前だけは知っているだけですね」


 首を傾げる廿月。彼もどういうものか知らないよう。


「あそこには、なにかやばい噂があって」

 炭祢は深刻そうな表情を見せる。


「噂?」

 霧山さんはハテナマークを浮かべ、廿月と悠輝も同じように不思議そうに考えていた。


「えぇ、それは、保育園で仕事しているアニメキャラが、全く別のフォルムになっていることです」

 コーヒーを少しずつ飲んでいく依頼主の男性。

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Cartoon Dual Action Roger フォッカ @focca

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