異具材【ル】後日談
ラーメンは天に還る
オレの意識は、心地よい浮遊感に包まれて復活した
(ここは、どこだ? 確かオレの体は家の風呂場で入浴中に破裂して、ラーメンの異具材を撒き散らしたはずだが?)
オレの肉体はなく、意識だけが麺や具材となって街の上空を一点に向かって上昇していた。
オレが登っていく先には、ラーメン具材が集まった巨大な球体が浮かんでいた。
次々と街から上昇してくる、異具材は巨大なラーメン球体をさらに巨大化させていく。
上昇してきたオレも、ラーメン球体に混ざり合った。
◇◇◇◇◇◇
球体の中には、破裂して消滅したはずの、オレの上司がいた。
上司が言った。
「やっと来たわね……待っていたわよ」
「ここは、いったいなんなんですか? オレはいったい?」
「ここは、異具材を食べて破裂した者たちの意識が異具材に宿って集まる場所……これから、異具材【ル】は故郷に還る」
「異具材【ル】の故郷?」
「それは、宇宙かも知らないし。別次元に通じる穴かも知れない……なにも心配するコトは無いわ【ル】の子供たちは、宿主である人間に食べられるために、またもどってくる……それが異具材【ル】の生命サイクル、移動がはじまったみたいね」
巨大なラーメン球体になった【ル】は、オレや他の仲間の意識を具材に包み込んだまま、ゆっくりと鳴きながら上昇を開始した。
〈ルルルルル……ルルルルル〉
後日談~おわり~
異具材【ル】 楠本恵士 @67853-_-
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます