とある日への感謝

上野蒼良@作家になる

ありがとう

 私は、昔から人よりも劣っている部分が多いと感じていた。それをはっきり自覚するようになったのは、はっきりと覚えていないが幼稚園の頃からかもしれない。


 年少の頃の私は病弱で泣き虫で勇気がなかった。何か起こるといつも泣いていた。


 しかも運動音痴で駆けっこはいつもビリ。運動会は風邪をひいて休んだ年少時代。よーいどん! と共にピストルの音にビビって駆け出しと同時に転んで怪我をした年中時代。転びはしなかったがピストルの音にビビって泣いてしまった年長時代と散々だ。


 周りは、可愛いと言いつつ呆れる事が多かったが、それでも仲良くしてくれる友達が数人だけいたのが救いだ。


 ちなみにこの時の事を両親に聞くといつも言われるのは「ゲロ魔人」だったという。どうやら、しょっちゅう吐いていたらしい。


 小学校に上がると僕は徐々に虐められるようになった。当然だ。運動音痴で泣き虫なのだから。病弱なのは幼稚園年長の頃には、だいぶ良くなっていたから学校には行けていたが、それが逆に嫌だった。私は勉強ができなかった。周りが幼稚園の頃から文字や計算をある程度習っていたのに対して僕は何もして来なかった。後で母がこの時の事を振り返って言うには「学習面は小学校に入ってから思いっきりやって欲しかったから」との事らしい。


 しかし、幼稚園と違って知能を持った人が周りに多かったからか私は入学早々からカースト最下位。必死に文字を覚えて計算を頑張ったがテストの点数は上がらない。それどころか、周りからマウントを取られる日々が続き、次第に精神を病んだ。小学校2年生の頃から私は学校一切誰とも話さない日が出始めた。帰り道も口癖のように「死にたい」と連呼していた。


 そんな私も小学校高学年からバスケットボールを始めた事で体力はついたし、運動神経も改善されていった。


 中学に上がると、今度はそれまで精神を病んでいた反動からか不良になった。職員室で噂されていた位にはヤバかったらしい。具体的に何をしたかは書かないが……また、それ以外にも好きな人に振られてしまった。


 中学の途中から勉強を頑張り、何とか高校に入れるだけの学力をつける事ができた。


 高校では、最初は頑張ってクラスの明るい人達と関わるようにした。また、ずっとやりたかった楽器を初めて軽音部に入った。(とあるアニメの影響なのだが……)


 最初は順調だったが次第に崩れた。バンドメンバーが揉めて、それに巻き込まれてバンドを脱退させられ、クラスでも段々話やノリが合わなくなってしまい、更には受験期に両親が離婚騒動を始めたのだ。


 またしてもメンタルを病んでしまった。



 大学はちょっと特殊な所に入った。だがキャンパスライフは送れなかった。コロナウイルスだ。3年間が潰れた。何もなかったし何もできなかった。私は次第にメンタルをより一層悪化させた。


 4年生になってすぐ留年が決まった。単位は取れていたのに留年した。理由は、この学校では卒業論文の制作に2年以上かかるらしく、その情報がコロナで学校に行けなかった事やそもそも学校側から説明もされていなかった事が原因で4年生から卒業論文に取り掛かろうとしたら教務課の人に留年を宣告された。




 またしても病んだ。毎日酒を飲んで自分の体をぶっ壊してやろうと考えたほどだ。バイト先でも店長が日曜日になると仕事そっちのけで競馬ばかりやるせいで仕事がいつも物凄い溜まってしまって病んだ。そして辞めて別の職場にしたが、今働いてるカラオケ屋も酷かった。クレーム対応を全てバイトに投げるし、それでお客さんをうまく扱えないと店長は怒る。


 金曜日と火曜日は学校の授業がある。この日までは文化祭でサークルでやる事があるからバイトに行けないと言っても次の日になると忘れて、どうして来れないのかと何度も何度も聞いてくる。少しでも私が何か言うとまた店長は、キレる。


 留年して店長にも怒られて、人生の何もかもがドン底で終わっている私は、もう死にたかった。いや、自殺しようとした事もある。



 しかし、こんな私に父は言ってくれた。


「……社会に適合してなくても良いじゃないか。それだけで死ぬとかくだらなさすぎるぞ。だいたい、お前は自分が思ってるよりもダメじゃないし!」



 ありがとう。父さん。私は今も夢を追いかけれています。ありがとう。

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