第116話 決着

 炎を放つように羽根に一つ一つが熱を持つ。


 進化の途中で攻撃をしようとしたようだが、氷のダンジョンを溶かすほどの、黄金の羽に弾き返されていく。


「くっ! わかっていたとはいえ、厄介だな」

「秘密コックK! 簡単に捕まえることは難しいぞ」

「秘密コックK! どうするんだ?」


 リーダーらしき、秘密コックKに視線が集まる。


「三位一体、あれをやるぞ」

「マジかよ!」

「最終局面ということか!」


 何かを決意した顔をした三人組が、自分の召喚獣を集める。


「黄金鳥よ。我々にとってこれは最後の戦いだ。お前に勝てば、貴様を調理してKFC団のトップになる。だが、貴様に負ければ我々は学園に侵入して魔物を攻撃した者として大人しく捕まろう。だから勝負だ」


 秘密コックKは、それほどの覚悟を持って俺に挑むということなのだろう。


 いいだろう。


 正面から受けてやる。


 俺も覚悟を決めて、黄金の翼を広げて空へと飛び上がった。


 黄金鳥になって、空中戦が始まる。


「来い! 我ら三位一体の力を見せてやる!」


 秘密コックKはスネーク、モグラ、カラスの召喚獣を呼び寄せ、三体が一つに融合したように連なって重なる。


 スネークの身体の前で素早い動きを見せながら、モグラの掘削力で地面に隠れる。さらにカラスの飛行能力を持つ空と地面、そして陸から三体が同時に動き出した。


「これが我々の最終形態だ!」


 異形の動きを見せる三体は、死力を尽くして迫ってきた。


 鋭い爪と毒牙を持って俺に迫る。


 だが、そんなことで怯むほど柔な鍛え方はしてない。

 黄金の輝きをさらに強くし、どんな方面の攻撃でも対応してみせる。


「ピーーー!!!(黄金の光)」


 強烈な光の刃を三百六十度全方位に放って、相手の攻撃を仕掛ける。


 しかし、敵も負けじと鋭い爪で迎撃し、激しい戦いが繰り広げられる。


「貴様の力を見せてもらった。しかし、死森で我々も鍛え上げた力を見せてやる!」


 三体が高速で動きながら、次々と攻撃を繰り出してくる。

 手数の多さに俺も圧倒されながら、攻撃を避けつつ、反撃の機会を伺う。


「これで終わりだ!」


 秘密コックKが指揮して、俺に強烈な一撃を加えようとする。

 その瞬間を俺も狙っていた。

 黄金の翼を広げ、全身の力を込めて一気に突撃した。


「ピーーーーー!!!!(王の咆哮)」


 互いに死力をぶつけ合う最後の一撃。


 俺の突撃は三体の攻撃とぶつかり合う。


「ピーーーーー!!!!(負けねぇよ!)」


 俺の勢いの方が勝って敵を貫いた。

 

 三体は崩れ落ちて、秘密コックKは地面に倒れ込んだ。


「これで…終わりか…」


 秘密コックKは敗北を悟り、地面に倒れ込んだ。

 その顔には悔しさと諦めが混じっている。


「ピヨ…」


 俺は彼らに近づき、黄金の翼を少し下ろした。


「我々は…ここまでだ。約束通り…大人しく捕まろう」


 KFC団の他のメンバーたちも力尽きた様子で地面に座り込んだ。

 彼らの表情には、どこか清々しいものがあった。


「ピリカ!」


 その時、アシェの声が聞こえた。

 彼女は宿から飛び出してきて、駆け寄ってきた。


「ピリカ、大丈夫? 怪我はない?」

「ピヨ!」


 俺はアシェに無事を知らせるために元気よく鳴いた。

 ヒヨコの姿に戻って、振り返れば、そこに彼らの姿はなかった。


 アシェは、俺を抱きしめてほっとした表情を浮かべる。


「また悪い人たちが来たんだね。一人で戦わなくてもよかったの!」


 これは俺と彼らとの決着だった。


「ピヨ!」

「もう、ピリカは勝手なんだから、だけど終わったんだよね?」

「ピヨ!」


 俺は彼女の感謝の言葉を受け入れ、共に宿へと帰った。

 夜空にはまだ星が輝いていたが、俺たちには新しい日の光が差し込んでいた。


「明日は決勝戦だね。あとはゆっくり休もう」

「ピヨ」


 アシェはそう言って、俺を優しく撫でた。

 明日の決戦に備えて深い眠りについた。


 ♢


 目が覚めた俺はニュースでKFC団幹部が大量逮捕という速報を見た。


 今まで秘密結社だと言われていたKFC団は、一人の幹部によって裏切られて、多くの構成員と幹部が逮捕されたそうだ。


 中には王都の飲食店を経営していた者もいたそうで、結構な話題になった。


 だが、そんなことよりも俺たちは本日の決勝戦が開かれるスタジアムへと足を向ける。


 ビギナーズクラスのハイクラスに出ていて、決勝戦まで残れたのだ。


 目指すは優勝であり、俺たちはスタジアムへ足を踏み入れた。


 そこに待っていたのは、巨大なドラゴンと、頭を坊主に沿った少年だった。


「よくぞ逃げずに来たな。ドラゴンマスターリョウが相手してくれる!」


 上級生であり、格上だとわかる相手に俺の戦意は爆上げする。


「ピリカ、行くよ!」

「ピヨ!」


 決勝戦へと足を踏み入れた。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 あとがき


 どうも作者のイコです。


 ここまでお読みいただきありがとうございます。

 途中で挫折して、書くのをやめようかと思ったのですが、切りの良いところまでは書き上げようと思い今日まで投稿させていただきました。


 因縁のKFC団との決着ということで、完結としたいと思います。


 どうぞ今後も他作品も投稿しておりますので!

 応援をよろしくお願いします!(๑>◡<๑)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ヒヨコの大冒険、モフモフボディーで成り上がり イコ @fhail

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ