戦場の怪物
【レイ視点】
戦場に出るとそこにはすでに敵の兵達が集まっていてこちらを伺っていた。師匠から聞いていた通り、戦争ビジネスだから必要以上に攻めて来ないのか……?
「おい!新入り!こっちだ!!」
一応この戦場での上官になるという男に呼ばれると、そこには見知らぬ男が。
「お前はとりあえずこいつの小隊、トラオージ隊に入ってもらう」
金と銀の虎柄の鎧を纏うその男はトラオージというらしい。
「トラオージ・イガだ。ランクはA級。よろしく頼む」
低姿勢でイケメンで高身長だ。そのままトラオージ隊の集まる場所まで向かう。
「君はなんのためにここへ?」
「修行のためです。強くなりたくて」
トラオージはニコリと笑う。
「そうか。ただ、慢心はいけないよ?ここは戦場だけど、勝てそうにない相手からは逃げていいからね」
「えっ?逃げていいんですか?」
「うん。小隊とは言っても僕らは所詮冒険者だからね。統率なんて執れないから結局個人に任せてるんだ。人数を把握しやすくするためだけの形って感じ」
逃げていいと言うトラオージの顔はどこか曇って見えた。過去に何かあったのだろうか。
「あと個人的には鎧はあった方がいいと思うんだけど……」
トラオージは鎧をしている。だけど師匠が外せと言ったものを装備していいのか。確かに防御力としては心許ないけど…。
やはり不安には勝てないので装備した。
トラオージ隊の集まる場所に行くとトラオージが私のことをメンバーに紹介してくれた。六人程だが全員こちらに興味はなさそうだ。
「愛想が無くてすまないね。まあすぐに人も入れ替わるししょうがないかな」
トラオージの言葉はもっともだろう。ここは戦場だから、明日には全員入れ替わっててもおかしくはない。当然私もトラオージ以外名前も覚えずだ。そのまま戦場へ向かう。
戦場に出ると、もうあちこちで激しい戦いが繰り広げられていた。でもなんか思ってたのと違うな…。
「なんか思ってたのと違うって顔してるね?」
トラオージに見透かされた。
「なんかこう皆で集まってぶつかり合うイメージだったんですけど……」
戦争といえば軍隊同士が集まり一箇所でぶつかり合う、みたいなイメージだがここは違う。規模が大きくても数十人の塊があちこちにあって、そこで激しく戦っているようだった。
「わかっていると思うけど、これは所詮上の人達のビジネスだからさ。本気で戦う気はないっていうのもある。でも相手は取れるなら取りたいという思惑もある。だから精鋭を前線に出して戦わせているんだ。あちらの兵士はあちらの本陣の前に隊列を組んで万が一に備えてはいるしね」
師匠から聞かされていたからそこは理解している気ではいた。けど実際に見るとなんだかなぁ。
そんなことを考えていると早速こちらにも敵が向かってきた。二十人程か。
「ヒャッハー!見つけたぜ!トラオージだ!!」
「あの鎧は目立つからわかりやすいぜ!!」
トラオージは早速攻撃をされるものの鎧を使って上手く弾くと一人目のヒャッハーを斬り伏せる。周りの敵も同時に向かって行くが剣や蹴りなどで弾かれて飛んでいく。めちゃくちゃ強い。
同じ隊の人達もかなりやるようだ。私も出遅れないように目の前のヒャッハーに斬り掛かる。
私の攻撃を剣で受け止めて弾きながら前蹴りをするヒャッハー。こいつ思ったより強い。
結局、私が四苦八苦して一人倒している間にトラオージ隊は一人も欠ける事なく全員を倒してしまった。全員ほぼ無傷なのに対して私はそこそこのダメージ。こんなんじゃダメだ。
「色々考えてるとこ悪いけどここで止まっては居られないからね。進むよ」
戦争というには少し閑散としているが、各戦闘の規模が大きいのか派手な爆発音や衝撃音が聞こえる。
私達も何度か戦闘を繰り返しなんとか戦場の半ばまで進む。ダメージも疲労も私が一番多い。
「今はここらはあまり敵もこないみたいだし、少し休憩しようか。僕が警戒しているから」
切り立った小さめの崖を背にし、トラオージがそう言って周りを警戒し始めるとその言葉に甘えて座り込み、大して上手くはないが回復魔法を自身にかける。
なんとか傷は治ったものの疲労感は半端ない。少しでも休んで迷惑を掛けないようにしないと。周りの冒険者達は談笑して緊張感の欠片もない。
「見ろよ!このヘルム!ミスリルだぜ?さっきぶっ殺したやつが被ってたから奪ったらよ、奇跡的に俺にピッタリなんだよ」
「お〜いいね。俺も欲しいなぁ。どっかに落ちてないかね?」
「ないない。こんなもん戦場につけてきてソッコーでやられるとかよっぽどのアホしかいねーよ」
アハハハハ!!
とバカみたいにバカ共が話しているが、こんなのでも私より遥かに強いのが嫌になる。
そう考えて腰掛けようとした瞬間、崖の上から声がした。
「あらぁ?こんな所で休憩なんて…。随分余裕ね?トラオージ君?」
崖の真上に来られて声を掛けられるまでなんの気配も感じなかった。声がした方を見上げると修道服を着た華奢な女と、上半身裸の筋骨隆々で坊主頭の男がこちらを不敵に見下ろす。
「チッ!最悪だ」
トラオージが忌々し気に舌打ちをする。それと同時に先程バカみたいな会話をしていた二人の隊員が逃げ出した。
「ひゃあぁぁ!!」
「アハッ!!逃がすわけねぇだろ!!」
修道服の女は一足で逃げた一人に追い付き、後頭部を思い切り殴りつける。そう拳で殴りつけたのだ。そして殴られた一人はご自慢のミスリルヘルムごと頭を潰され即死した。鋼より硬い物質を拳で潰すなんて…。身体に似合わない威力の攻撃だが拳には何もつけていない。どうなっているのかわからない。
もう一人は一人が殺られて少し冷静になったのか剣を抜き斬り掛かった。苦し紛れに見えるその剣撃でさえ私よりも鋭く素早い。その剣を拳で迎え撃つ女。
「イかれてる…」
私の口から思わず声が漏れる。
女の右拳からは血が噴き出すが、そのまま剣を拳でへし折った。
「ひっ!ひぃぃぃい!!」
男はその光景に思わず腰が引ける。
その男に女のシッ!という息吐く音と同時に左拳が直撃する。全く見えなかった。
左拳は男の顔面の中ほどまでめり込んだ。遠目から見ても即死なのがわかる。
めり込んだ拳を引き抜きながら女はこちらを見る。私は思わず剣を構えながらも後ずさる。
その様子を見て女は一足で私の前へ移動し、拳を突き出した。先程の顔面にめり込んだ拳を見てしまった私は無意識に顔を剣でガードするも、拳は鎧に突き刺さった。貫通こそしていないが胸の部分に鎧がめり込み肋を折る。肋が肺を圧迫して呼吸がし辛い。更に鎧がめり込んでいるので回復魔法が意味をなさない。
苦し紛れに自身ができる最大の炎魔法を広範囲に放ち相手を引かせる。炎の壁を作り思案する。
ヤバい、ヤバい!!こいつは今の私では戦うことすらできない。一瞬でそう思わされてしまった。縋るようにトラオージを見るももう一人と戦っていてそれどころではない。他の隊員達は気付いたらいなくなっていた。
私も炎魔法の壁がある今なら逃げれるかと痛む肺を押さえながら走り出そうとした瞬間、炎を突っ切り女が飛び込んできた。
「うわあぁ!!」
思わず叫んでしまう。そして思わず斬り掛かってしまった。私の剣が女に届くよりも先に女の拳がまた鎧の脇腹あたりに突き刺さる。
「ぐっあぁ!!」
正確に打ち抜かれた拳は私の肝臓を叩いた。悶絶して倒れ込みそうになるも踏み留まる。
女は笑いながら鎧を何度も何度も打ち抜く。鎧が変形してあちこちの骨が鎧と同じ形にひしゃげる。師匠の言う通りに鎧なんてしなきゃよかった。
身体中ぐちゃぐちゃでもう歩くこともましてや鎧が変形して座り込むこともできない。まるで何かのオブジェのようにその場で死を待つしかない。
怖い。怖い。
防御もできない状態で震えている私の顔面に拳を叩き込もうと、女がまるで喧嘩ヤクザのように大きく振りかぶりシッ!と息を吐いた瞬間、女の下顎が吹き飛ぶ。粉々に砕け、血だらけの顎を押さえ後ろに倒れ込む。辛うじて回復魔法は掛けているようだが意識が朦朧としているようだ。
「マジかよ!大丈夫か?!」
坊主頭の男がトラオージを無理矢理吹き飛ばしてこちらへ来ると女を抱き起こす。
「傷は治ってるみたいだが意識は戻らんか。まあいい」
そう言って女を抱えながら私の方へ来る。私にトドメをさそうとしているのか…。だが、何かが地面に当たり大きく地面が削れる。
「おっと。こいつは無理だな。一旦引くか」
男は踵を返すと物凄いスピードで走り去って行ってしまった。
助かった……のか?
私は安堵した瞬間に股間から生温かい物が流れていることに気づいた。
あんなに華奢なのに拳だけで戦う女の強さと威圧感。それに圧倒されてしまった。
身体にめり込んだ鎧を無理矢理引き剥がし、崖の下に隠れて回復魔法をかけるものの先程のことを考えて震えてしまう。
「大丈夫かい?」
急に声を掛けられてハッとすると目の前にトラオージが立っていた。思ったよりダメージは少なそうだ。
「一度、戻った方がよさそうだね」
トラオージはそういうと私の隣に座り込み回復が終わるのを待っていた。
【カムリ視点】
戦場はいい。
あちこちにざまぁが溢れている。
さっきまでイキリまくってたやつが簡単になす術もなく殺されていく。堪んねぇなぁ!
俺は戦場に入っていないから遠くの小高い丘からナニーニさんと見学だ。
そしてナニーニさんに興奮したナニをナニしてもらう。外ということもあってそれも興奮する。
「ん…っふぁ。ちょっと、興奮しすぎじゃない?」
俺のナニをしゃぶり、上目遣いで見ながらナニーニさんが言う。超絶舌テクに腰が引けてしまうもののナニーニさんは逃さないように抑え込み、咥え込む。
「あ、あ〜〜〜!」
情けなくナニーニさんの口内に注ぎ込まれる俺の遺伝子達。ナニーニさんはそれを全部飲み干して俺を潤んだ瞳で見上げた。
「もう……。三回目なのに多すぎでしょ」
とか言いつつ俺のナニを更にシゴくナニーニさん。堪んねぇっす。
スキル限界突破で射精回数や、精液の量まで増やしているのでまだまだいけるぜ!!
先端の亀さんをこねくり回すナニーニさんのテクにまた情けない声を出していると、こねくり回しながらナニーニさんが遠くに目を向けた。
「ねぇ。アレ。そろそろヤバいんじゃない?」
アレ、とは当然レイのことだ。何も開放感や、露出プレイのためにこんな丘の上にいるわけではないのだ。
「あっ…。そ、そうだな。人の、うっ…、忠告を聞かないから少し放置、あっ、してたんだけど、そろそろかな」
その間も超絶テクでこねくり回しているもんだから変な声が出ちゃう。
ともかく、およそ十キロ先にいるトドメを刺そうと振りかぶっている女に指弾を飛ばそうとする。まだまだいい特訓相手になりそうだし威嚇のつもりで弱めにと思ったが、迂闊にも指弾を飛ばすタイミングで俺の三十センチある息子からも出てしまったために手加減をミスった。
「やべっ」
「下顎吹き飛んでるけど、生きてる?」
どうやら回復は得意のようで下顎はすぐに治ったようだ。ダメージはすぐには抜けないだろう。ほぼ気絶状態で回復できたのは素晴らしい。
そんな女を抱えながら、レイにトドメを刺そうと近づく坊主頭。足元に指弾を何発か放つ。何処から攻撃をされているのかはわかっていないようだが、こちらの意図は伝わったようでそのまま引いていった。
仲間に回収されて戻ってきているレイを遠目に見ながらナニーニさんのテクでまた情けなく果ててしまう。もう我慢できん!!ナニーニさんのナニーニさんに収まりたい!!なんて思っていると、
「もう…。続きは宿でね?」
と見透かされてしまっていた。
ざまぁ趣味なおっさん冒険者の歩く道 タカサン @takasan0607
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