第33話エピローグ
母は遺産を残してくれた。
子供のころ使わなかった分、ずいぶんと増えたみたいだった。
弟の管理で、全部が明らかになり、実家の分だけ弟が余分に相続した。
その実家も今は更地で売り出し中だ。
3回忌があるのでそこで売れたかどうか聞いてみようと思う。
私もこうして小説にしてみて実にいろいろなことがあったと驚いている。
事実だけを書くので、10万文字は無理だった。
記憶は今でも曖昧な部分が多い。
書いた中でも今でも本当にあったことなのか自信がないものもある。
しかし、繰り返し起こるフラッシュバックによれば、欠けていた記憶は取り戻せた気がしている。
私は腎臓が1つしかないので、飲める精神薬に限りがある。
新薬も試せない。
なので症状は固定しているのだと思う。
今は一日家に閉じこもっていることが多い。
一人きりで家にいると、しゃべる相手もなく声がかすれてしまった。
カラオケなどが得意だったが、今は歌うことも出来なくなった。
今日、仲の良かった同僚の女性が亡くなったという知らせが届いた。
病死らしかった。
去年は年賀状のやり取りをしていたのに、闘病中だったようだ。
若くして亡くなる人が出るというのは寂しいことだ。
明るく元気な人だったのでとても意外な気がする。
その人も社内結婚だった。
ご主人のことも知っている。
憔悴しているだろうなと気の毒に思っている。
長い間に、A社で賀詞交換してる人は彼女だけになっていた。
もうこれで、A社に関わることもないだろう。
これからは自分の健康管理をしっかりしなければならない。
しかし、散歩さえも億劫なのだ。
入浴も億劫で、シャワーで済ますことも多い。
主人は腎臓の数値を良くするため、痩せていないといけない。
毎日筋トレと有酸素運動をしている。
体の病気と言っても、精神病とはすごく違って見える。
主人には私の腎臓がとても合っているようで一見すると障害者には見えない。
数値もすごく良くて、活動的だ。
一方の私は、悪玉コレステロールが高く、脂肪肝でもある。
食はかなり細くなったが、やはり運動しないのが響いているようだ。
肝臓も悪くなるといよいよ飲める精神薬がなくなってくる。
腕を骨折して以来、階段が怖くなった。
上るのはいいのだが、下るのが怖いのだ。
出来るだけ、ローカロリーのものを食べて太らないようにしている。
お酒はもともとそれほど好きではないので、飲めないことは気にならない。
腕が後遺症が残ったので運転も出来なくなった。
本当に引きこもりになってしまった。
今は眠りながらできるアファメーションなどを流して、精神を落ち着かせている。
昔本で読んだ内容を耳読出来るようになった。
YouTubeは便利だと思う。
もともとスピリチュアルな世界には興味があった。
今はお金の勉強とともにその世界の探求もしている。
昔は買い物依存症なくらい衣装持ちだった私だが、今は全然買わなくなった。
主人にはおしゃれすればいいのにと言われるが、興味がわかない。
OLだったころの華やかな生活は今も脳裏にある。
しかし、老後を考えるとミニマリストにならなければという思いがある。
若いころ入った個人年金がもうすぐ下りるようになる。
いい時に入ったので、利回りが5%もあるものだ。
それ以外にiDeCoは障害年金としてもらったので非課税だったし、NISAもやっている。
それでも、いくつまで健康に生きられるかわからないので不安は尽きない。
人にこれ以上迷惑をかけないような最期を迎えたいものだと思う。
家族の役に立てているうちに眠るように死ねたらと願っている。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
時々記憶をなくす精神病のOL emimama @emimama331
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