辻占について

春海水亭

辻占について

 フォーチュンクッキーというお菓子をご存知でしょうか、十年ぐらい前にそのお菓子をタイトルに使った有名な曲があったので、案外知っている人は多いかもしれませんね。中におみくじが入っていて、運勢を占うことが出来るお菓子です。


 そのフォーチュンクッキーの元祖と呼ばれているのが、石川県金沢市のお菓子である辻占です。花弁のような綺麗な形をした和菓子で、その中にちいさなおみくじが入っています。そしてお正月になると、それを食べて一年の運勢を占うのです。


 和菓子屋さんでしか買えないような特別なお菓子というワケではありません。年末になるとスーパーにも普通に並んでいます。それでも折角だからということで、私の家庭では近くの和菓子屋に売っている少しだけ良い値段のする辻占に一年の運勢を託したりしています。


 とはいっても、小さなお菓子です。大人の親指の半分――そのぐらいの大きさでしょうか、だから中に入っているおみくじだって、大した文章が書けるワケではありません。『きもちがよい』であるとか『あなたとならば』とか『くじあたる』であるとか、意外に具体的なものであったり、その文章だけでは解釈の難しいものであったりします。


 なので三つ食べます。


 袋の中に十何個か入った辻占から三つ食べて、中のくじを三枚繋げて自分なりに解釈してみるというのが一番多い楽しみ方です。先程挙げた三枚ならば『きもちがよい』『あなたとならば』『くじあたる』となって、一緒にいるのが気持ち良い人間――友人であるとか恋人であるとか、そういう人と一緒に過ごせば宝くじや福引に当選するんじゃないかなぁと解釈することが出来ます。


 まあ、そもそもこのお菓子の名前の元となった辻占という占いが通りすがりの人の会話を聞いて、その会話の内容から自分の運命を解釈する占いなので、このお菓子が曖昧な言葉の中から未来を占うのも当然のことなのかもしれませんね。


さて、ここまで読んで頂いた皆様には金沢市の辻占という文化について知っていだけたと思います。それでは、私が今年のお正月に食べた辻占から出てきたおみくじの中身を紹介させて頂きたいと思います。


『  』


『  』


『  』


 ええ、私が選んだ辻占のおみくじは三枚ともが白紙でした。いっそのこと全部がエラー品であったというのならば、そういうこともあるのだろうと思えたのですが、家族や親戚の選んだ辻占にはしっかりとどのようにも解釈できる文章が入っていたのです。


 さて、私はこの白紙の文章にどのように未来を占えば良いのでしょう。


 上記の文章が掲載されたブログは、現在も更新を停止している。

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