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クリスマスプレゼントの思い出

もういい年こいてるんで、クリスマスもクリスマスプレゼントも全部俺が主役じゃなくて接待する側のイベントなんですけど、まあちょっとした思い出話なんかを。

クリスマスって靴下吊るすと中にサンタさんがプレゼントを入れてくれるみたいなシステムってあるじゃないですか、まあ子どもが欲しいプレゼントなんて靴下サイズなわけがないから、だいたいそういうシステムって無視されるもんなんですけど。

ただ本当に小さい頃は素直な気持ちでイブの夜に靴下を吊るしてたんですよね、といっても幼児なりの欲望はあるので子どもの時に使ってた小さい靴下じゃなくて、大人の靴下を買ってもらって、それ吊るしてたんですけど。

で、まあ……翌朝になるじゃないですか。
入ってたんですよね、中身が。
プレゼントじゃないですよ、靴下の中身が入ってたんです。
靴下にちょうど収まるように大人の男だったか女だったかは覚えてないんですけど、脛までが丸々。で靴下の入口のところで断面が見える感じになってて。

ただ、両親に言うことすら怖くて……っていうか、自分が犯人だと疑われるんじゃないかっていうのが幼心に怖くて、結局、黙って、靴下は中身ごと捨てることに決めました。

で、俺の家って近くに竹藪があるんで……まあ、そこに捨てようかと思って、行ったんですけど……既に捨てられてるものがあったんですよね。
俺が貰ったのは右の靴下なんですけど、なんかちょうど足が入っているみたいに膨らんでいる左の靴下があって。
で、やっぱり手が入っているみたいに膨らんでいる手袋が両手あって。

それで……うわっ、やばいやばいやばいって思ったんですよね、幼心に。
で、そのタイミングで人の気配を感じて、隠れて様子をうかがったら……同じ園の友達が来てたんですよね。

「靴下じゃ駄目だよ、もっと大きいものに入れてもらわなきゃゲームボーイ入んないよ」って冬休み前に言ってた彼が周囲をきょろきょろ見回しながら、青い顔して来てて……なんか、ニット帽みたいなのを持ってたんですよね、中身が入ってるみたいな。

あ、やばい……このままだと全部揃う……って思って、彼が竹藪に帽子を捨てて立ち去るのを見た瞬間、別の方向に逃げ出しました。

セーターを持った子とすれ違ったか、ですか?
ハハ。

結局、あれから何も起こりませんでしたよ。
だから俺、元気に喋っているでしょ?

……でも、さぁ、息子に「サンタさんにプレゼントもらいたいから靴下買って!」って言われた時、正直……確かめたい気持ちはでてきたんですよね。

へぇ、オタクの娘さん、セーターを……

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