★再発と同じひびきで寛解を

※さいはつと おなじひびきで かんかいを


「寛解です」


再発、そして、今回は。


「寛解、ですか」

主人は、泣いている。


私が泣いていないのに。


「はい、寛解です」

先生は、主人を見てから、私にも、もう一度。


「ありがとうございます」


今後の日程などをお話して、そして、今日は終了。


ねえ、貴方。


覚えているかしら?


告知された時も、先生は「……です」って。


セカンドオピニオンは、と言った私に。


「僕は、あの先生がいいなあ。君が、頑張れるって、分かってる感じがした。あ、もちろん、セカンドオピニオンはお願いしようか」


泣きながら、そう言ったのよ。


確かに、って、私もそう思ったの。

やっぱり、私は泣いていなかったけれど。


それからは、セカンドオピニオンもお願いしたけれど、この先生だねって。


二人で決めたのよね。


再発の時も、先生は。


「再発です」だった。


そして、今。


先生は、同じ響きで。


寛解と。


告知から、再発。再発から、寛解。


あの日々と、響きが。


「頑張りましたね」と聞こえてきたみたいで。


……病室を出ても、まだ泣いている貴方には。


いつ、ありがとうを言おうかしら。




※寛解は治癒ではないけれど、症状が軽減またはほぼ消失した状態のことです。


ひびき、には 響き、と 日々 を掛けております。






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