その後の話

 再会後、互いの両親に挨拶をした夢叶と絵星。再会から約4か月後、お盆が終わってすぐのこと。夢叶は連休を取り、絵星と共にある場所を訪れていた。


「ごめんね、誕生日プレゼント大したものあげれなくて。」


「大丈夫。仕事の合間を縫って探してきてくれてありがとう。久々に来たけど、何も変わってないなー。」


 2人が訪れていたのは、かつて絵星が佑仁と一緒に来ていたあの聖地だ。の話はもう、笑い話になっていた。


「佑仁にまで、気づかなかったなぁ。の自分を叱ってやりたい。」


「はは、それだけ心も大人になったってことだよね、私たち。」


 市内を散策している間に夕方になる。海をゆっくり見た後宿泊先の旅館へ行こうとする。


「そういえば絵くん、私の分は旅行中に渡すって言ってたよね?」


「ああ、そうだよ。」


絵星がリュックから取り出したのは、小さな小箱だ。そしてひざまずく。


プロポーズしたの覚えてる?」


「うん。」


「まだ俺は大学生でそのぐらいしかできなくて説得力なかったかもしれない。でも今は、夢叶と同じ社会人の一員だ。だから――今度は本気で伝えるよ。」


「はいっ!」


2人して緊張感が走る。絵星が小箱を開くと、そこには指輪があった。夢叶の視線を釘付けにする。


「蒲本夢叶さん。俺と――結婚してください!」


夢叶への誕生日プレゼントは、プロポーズという最高の贈り物。


「は、はいっ! 喜んで…!」


涙を流しながら、指輪をつけてもらう夢叶。そして熱く、抱きしめあった。


 旅館に着くと、佑仁が来ていた。どうやら絵星の頼みでここから合流するそうだ。


「夢叶さん、お久しぶりです。そして、おめでとうございます! それと絵星よ、結婚の証人を俺が引き受けてよかったのか? そんな重大な役を。」


「お前にしか頼めないんだっつーの。」


「分かった。何だかんだ振り返れば、俺が妥当かもしれん。では改めて、結婚おめでとう。夢叶さん、絵星。」


 翌日の昼間に東京に戻り、まっすぐ婚姻届を提出。蒲本改め夢叶として、絵星との第2の人生を歩き出すことになった――



《完》



――――――



【作者より】

 約3か月連載し、無事完結いたしました!

 つたない点もある中、最後までお読みいただきありがとうございました!

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