ふと、考える

@Alice37

第1話 「恋愛」ってなに?

「えぇー、いいなぁ、私も彼氏ほしい~」

自分の席で本を読んでいると、ふとそんな会話が耳に入った。どうでもいいと思いながらも、その言葉はなぜか耳に残った。誰が話していたかも覚えていないのに、なぜかその言葉だけを今も覚えている。


女子高の中高一貫校で過ごした私は「恋愛」をしたことがない。中高生の頃は、友達とするのは恋愛をしたいという恋バナだけで、とくに現実がともなったものではなかった。けれど、それは大学生になると途端に身近なものになった。中高生のときより、恋人がほしいという話は多くなり、実際に付き合っているという話も聞くようになった。もともと「恋愛」をすることに積極的でない私は困惑しながらも、友達に適当に話を合わせた。


「恋」とか「恋愛」ってどんなものなのだろうか。そう考えていると、小学生のときに好きな子がいたことを思い出す。でも、それは当時は無意識だったけれど、周りに話を合わせるために彼を好きになったのだと思う。小学生の私は周りの子から浮かないために、ちょっと人気のある子を好きになったことにした。恋人になりたいと思ったこともないし、彼に対して深く考え込んだり、ドキドキしたこともない。今考えれば、これは「恋」ではないと思う。


「恋愛」、私はまだしたことがない。これはおかしなことなのだろうか?


そんな風に考えたことを頭の片隅に追いやって、日々を過ごしていくなかで、やたら母親の言葉につっかかりたくなることがある。たとえば、「いい旦那さんを見つけないとね」「子供ができたらそんなんじゃ大変だよ」という言葉に対して、「私が子供をつくらないという選択をすることは考えてないのかな」「私は好きになるのは男とは限らないのに、そういうことは考えてないのかな?今はLGBTとかいろいろあるのに」という風に心の中でぐるぐると考えてしまう。

これは私が母親に対して心の中で少し反発心をもっていることも関係していると思うが、それは置いといても私が自身の恋愛対象がはっきりわかっていないというのが主な理由だと思う。女性が好きかもしれないし、男性が好きかもしれないし、どちらも好きなのかもしれない。私の恋愛対象ってなんなんだろう?どうやって知ればいいの?最近の私は、そんな言いようのない不安感にさいなまれている。

でも、こんなこと周りには相談できない。親にも友達にも。相談されても困るだろうし、自分自身の悩みをさらけ出すのは不安だ。そういう相談所に話してみようかとおもっても勇気が出ない。自分の弱さがいやになる。逆にどうやってみんなは自分の恋愛対象を理解するんだろう。

手っ取り早いのは性欲なのかなと考えてはみるものの、どうもわからない。

オタクな私は、オリジナルや二次創作関係なくR-18の小説・漫画はBL、NL、GL問わず興奮するし、AVやゲイビデオ等でも同様だ。でもこれってシチュエーションに興奮しているだけで、恋愛対象だからとか関係ないんじゃないだろうかとも思う。

本当に私の恋愛対象って何なんだろう。実際に誰かと付き合ってみればわかるのだろうか。でもどうやってそこまでいくのかだろうか。それにいろいろな話を読むと、「恋」は落ちるものだと書いてある。いつか私も「恋」に落ちて、「恋愛」が分かることがあるかもしれない。


そんなことをなんとなく考えて、なにか行動を起こす勇気もなく、ただ日々を過ごしていく。そして、そんなんだから私はダメなのだと自己嫌悪する。


これが普段私がふと考えることの1つである。

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