第17話 偏った想い




数年前。

ちょうど、今の季節から冬にかけてぐらいの頃。


父に連れられて、祖父の家に挨拶に行った時だった。


正直、こんな田舎くさいところなんかに1秒たりとも行きたくなかった。


厳格な祖父は、いつも俺に罵声をあびせてくる。


俺は、何も悪くない。悪いところなんかない。

だから、成績、運動だって、いつも上位をキープし、誰よりも俺は、お前より上だと相手に認識させてきた。


父は、そんな優秀な俺を誇りに感じていた。

自社の後継者に選ぶくらいだからな。


手に入れたいものがあるなら、持てる権力、地位、金で何でも手に入れて来た。


たまたま、息苦しい祖父の家を抜け出して、田舎道を歩いていたら、バス停で年寄りがバスに乗るのを手伝っている女がいた。


無事に年寄りをバスに乗せる事が出来ると、女は微笑み、その場を走り去っていった。


それが、美野あかねだった。


媚び、色遣いするわけでもなく、無償で相手を愛しむ心。


身も心も美しい女。


初めて、本気で手に入れたいと思った。


その後、都会から離れ祖父の家に移住して、時が来るのを待った。


そして、時が来た頃、俺から誘ってやったにも関わらず、美野は、誘いにのらないどころか、底辺の池田誠一を選んだ。


あの時は、俺のプライドはズタズタに引き裂かれて怒りに狂った。


どう足掻こうとも、この女の心だけは俺のものにならない。


だったら壊すしかない。


その想いも全て。





俺は、美野を見下ろすと、俺を睨みつける美野の首をギリギリと両手で締め上げた。


「あっ、、、やめ、、、。」


「いい顔するじゃないか。いいか?お前は、俺に逆らう事は許さない。抵抗すれば、奴らがどうなるかは分かるだろう?」


どんどん顔が赤くなって、声が掠れていく。

美野の目から涙が流れ始め頷いた。


解放してやると、ゲホゲホとむせて大人しくなった。


いい光景だ。


「もっと、躾けてやるよ。」




























































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