第15話 執着



あれ以来、僕の父さんは、元の取引先に頭を下げて、なんとか取引きを続けてくれないかと駆け回り必死だった。


母さんは、いつでも農作物を商品として出せるように手入れをきちんと続けていた。


もちろん、東堂家にも行ったらしいが、無駄足だったようだ。


僕らは、学校で情報交換しつつ、蒼太も含めて校舎裏の木陰にて話し合った。


蒼太の方は、難航しているらしく、ただの成金一族ならハッキングで、これまでの不正を暴露して、潰せると思ったらしいが、どうやら一筋縄ではいかないらしい。


「これ以上、俺達が東堂家に首を突っ込むと最悪の結末になるな。」


蒼太は、悔しい顔をして言った。


「悪いな。啖呵切っておきながら力になれなくて。」


「そんな事ないよ。蒼太のおかげで元気出たし、それに、こはると一緒にホームページを作ってるところなんだ。でも、うまく作れなくて、、、。」


「それだったら、俺にも手伝わせろよ!なんならこはるちゃんをモデルにしてみたらどうだ?」


「私がモデル?」


「イメージキャラクターみたいな。」


そう言って、ニコッと笑う蒼太。


それに反応して、こはるも嬉しそうに笑う。


それから、僕らは町おこしについて町の人達に協力してもらう為に、どうすればいいか話し合った。




その日の夜。


東堂の祖父の家で、与えられた部屋で窓から外を眺めるあかね。


いつも思うのは誠一の事。


窓のガラスに触れ、誠一と過ごした日々を思い出す。


すると、部屋の出入り口の襖を開ける音が聞こえて、音の方へ振り返った。


そこには、東堂圭介がいた。


「部屋に入って来ないでって、言ったでしょ。」


「お前の意見など、どうでもいい。」


そう言うと、東堂はあかねの腕を掴み、強引にベッドへ引きずりながら、押し倒した。


「私に何をするつもり‼︎あなたの言う事なんかっ」


がばっとあかねの口を手で押さえつけて、言葉を遮った。


「口うるさい女だ。女は黙って俺の言う事を聞け。」


状況を察したあかねの中で、何か糸がぷつんと切れた音がした。


「本当、私の大嫌いな男。」


あかねは思いっきり東堂の顔を引っ掻いた。


「ーーーっ‼︎このクソ女。」


「無理矢理襲ってくるようなクズに言われたくない。いい?今すぐ、私を解放して。」


東堂は、恨めしそうにあかねを睨みつける。


「解放されてどうする?状況は変わらないぞ。俺は、お前を逃さない。より窮地に追い込まれるのはお前達なんだぞ。」


あかねは、ため息を吐いた。


そして、堂々と東堂に言い放った。


「私が好きなのは誠一だけ。あんたは、どう足掻いても誠一に敵わない。例え、全てを失っても誠一が一緒なら私はそれでもいいの。あんたには、一生、理解できないでしょう?」


それを聞いた瞬間。


東堂はあかねの頬を強く平手打ちした。


そして、息を荒げ、歯を食いしばり、自分を落ち着かせようとした。


「絶対に解放はしない。絶対にだ。」


打たれた頬を押さえて膝をついたあかねは、東堂から目を離さなかった。





























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