第14話 微かな希望に賭ける
僕は、学校から帰るとカバンを置いて、自室に行き、着替える前にパソコンを開いた。
こはるが魔法少女みこりんのぬいぐるみを抱いて、何事かと僕の様子を伺いに来た。
「何してるの?誠一兄?」
「町おこしをするんだ。」
町おこし?と、首をかしげるこはる。
「自治会長は、もちろん東堂家の祖父だから直接頼みに行っても、当然、門前払いだよ。
だから、町中のみんなと協力して、町おこしで、地域、産業の活性化、観光客の増加をするんだ。」
地域のふれあいネット掲示板に募集を書き込む僕にこはるが、不安気味な顔をする。
「それで、町の人達が協力してくれるかな?触らぬものには祟りなしっていうでしょ?」
「両親の思いを無駄にしたくないんだよ。それに、蒼太のことも。」
運がいい事にこの街では、四季折々の作物が取れ、自然を楽しむ事が出来る。
季節によっては山菜取りだって出来る。
最近、都会から引っ越してきた夫婦が、カフェを開き、住民の憩いの場になっているのもありがたい。
何より、我が家の梨は地域で一番、一部の県外でも展開する程、好評だ。
ただ、後継者問題で、どこの農家も少子高齢化が問題視されているのは事実だ。
地域のふれあいネット掲示板に募集の書き込みを終えると、今度は、ホームページ作成を始める為にとりあえず、部屋着に着替える事にした。
「大丈夫だよ。こはる。僕らには仲間がいるから。」
机を離れて、こはると向き合い、頭を撫でる。
「うん。分かった。魔法少女みこりんだって、絶対に諦めないもんね!」
魔法少女みこりんのぬいぐるみをぎゅっと、抱きしめて、少し安堵したような笑みを浮かべた。
「それにしても、誠一兄って、ホームページを作れるの?」
「うーん。それが、初心者だからどこから初めていいやら。調べながら始めたら出来るかなって思ったけど。」
「だったら、私も一緒にする!」
それから、夕ご飯を食べた後、僕らは手探りながらも自作でホームページ作りに励んだ。
それから数日、希望を込めて、ふれあい地域ネット掲示板に書き込みがあった事を僕達が気付くのは先だった。
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