禁忌
「ここは、、、、?」
目を覚ますと、見覚えのある光景が広がる。
学園の教会だ。
起きあがろうとすると、両手をロープで縛られている事に気付いた。
「やっと、目を覚ましたか。」
突然、女性を抱き抱えたフランツ牧師が現れた。
「これは、どう言う事ですか!フランツ牧師様!」
そう言って、あたりをよく見ると、今朝、フランツ牧師様を囲っていた3人組の女生徒の血まみれの死体がゴロゴロと床に転がっていた。
どの遺体も、体の一部を欠損している。
「嘘、、、。なんて事を。」
フランツ牧師は、私の横に抱き抱えていた女性を寝かせた。
「ひっ!」
その女性を見て、思わず引いてしまった。
何故なら、その女性の頭部はミイラのようにしわがられているのにその他の部分は、生身の人間の肉体を繋ぎ合わせられていたからだ。
「ある時、神が俺に言ったんだ。俺の願いを叶えてやると。」
そう、話しながら、隣に寝かせた女性の手に短剣を握らせる。
「初めてお前を見た時、再会した時、確信したよ。お前はミラと同じ、清く、美しく、汚れのない心の持ち主だと。だからお前をミラを蘇らせる為の頭部の代用品に選んだ。」
「頭部の代用品、、、?。」
「もっとも重要なところだ。他の体はそこにいる女達で、賄えたが、頭部だけはミラと同じ太陽を持つものにしたかった。」
フランツ牧師はポケットから赤い液体が入った小瓶を取り出す。
そして、私の首を切断する為の斧を手にする。
「やっと、全てのパーツが揃った。お前の首をミラに捧げ、このヴァンパイアの血を飲ませればミラは復活する!」
フランツ牧師は、両手を広げて、ミラという女性の復活を目前に歓喜する。
「そんなのみんな悲しみや苦しみを乗り越えて生きているんだよ!
この女性だって、犠牲の上に成り立つ幸せなんて望んでない!」
「お前に失った者の気持ちなど、分かるものか!」
「そうね。あなたの思考は全く、理解できないわ。」
「ローズ!無事か?」
突然、現れたエリザとイアンに動揺するフランツ牧師。
「イアン!エリザ!助けに来てくれたの!」
フランツ牧師は邪魔をさせまいと、小瓶をポケットに戻し、斧を構える。
すると、私の横にいた女性が悲鳴をあげ、暴れ出し、短剣を振り下ろして来た。
「うそ!嫌っ!この、、、死んでたまるかー‼︎」
必死に抵抗するが、両手をロープで縛られいて、うまく防御出来ない。
「ローズ!」
「イアン。ナイフを持ちなさい。」
エリザは、ホルダーからナイフを取り出すと、イアンに渡した。
イアンはナイフを受け取ると、すぐにローズを助けに走った。
フランツ牧師は、イアンを止めようと斧を振り上げたが、エリザが横一線にフランツ牧師を一瞬に剣で切り裂いた。
「待ってろ!すぐに助けるから!」
「無理っ。痛ったーーー!」
ミラが、ローズの首元に齧り付く。
「この化け物が!ローズから離れろ!」
そう言って、イアンはミラの背中にナイフを突き刺した。
すると、ミラは断末魔の叫び声を上げてチリとなり消え去った。
すぐにローズを縛っていたロープを解くと互いに抱き合った。
その頃、フランツ牧師は目的も失い抵抗もしなかった。
「終わりだ。殺せ。」
「初めから、そのつもりよ。」
エリザは、フランツ牧師の心臓を剣でひとつきに殺した。
数日後。
多目的室で寛ぐ私とイアン、エリザ。
「本当に助けてくれてありがとう!」
「いつもの事よ。」
「その通りだな。」
「もぅ!人をトラブルメーカーみたいに言わないでよー!」
エリザは、ローズからお礼で貰ったシュークリームを食べながら、私とイアンがじゃら合うのを微笑ましく見ていたのは、エリザだけの秘密。
PINK ROSE はる @haru0012
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