概要
あの冬溺れたのは、首に三角を下げた白鳥のような人だった。
小学を上がってから、中学に入って。進路を決める。高校に入って、自分を見出す。
毎年の担任は俺に「そういうとこだぞ」と言って「変われよ。そろそろ」と続けた。
俺はなんにも変われてないんだ。
だから変わりたかった。けど、変わろうとしても無理なのだと分からされる。
冬は嫌いだ。空を飛ぶ白の三角がやってくる度に、太く存在感のある歌が響く度に、俺は耳を塞いだ。
ずっぅっと。
春が来ればいいと思っていた俺に来た、17の冬。
黒髪が冬景色に勝っていた。白の肌が雪景色と混じっていた。
頬を突き刺す雪の混ざった突風がその黒髪を靡かせた。
湖に落ちて溺れたその人を、俺が直視するには眩しすぎて、怖かった。
また壊してしまうのではないかと手が震えて。
――どぉしたのさ。
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