4月1日

「お前、どのクラスだった?」


「やったぁ!今年も同じクラスだね!」


「離れれても俺たちの友情は普遍だ。休憩時間になったら遊びに行くからな!」


 激動のドラフト会議から1夜。

 桜満開の校舎の中庭にクラス分けの結果が貼り出されている。

 その結果に、生徒たちは大いに盛り上がっていた。


「自分のクラスを確認したら教室へ移動してください!すぐにホームルームが始まりますよ!」


 京子は誘導要員として、そんな生徒たちに声をかける。

 しかしクラス替えという一大イベントだ。

 生徒たちはなかなか動こうとしない。


「まったく、もう......」


「あっ、キョーコせんせーだ!」


 そんな彼女のもとへ、一人の女子生徒が走ってくる。


「キョーコせんせーが担任なんて、あたしツイてる!これから2年間、よろしく

お願いしまーす!」


「こら、秋元先生と呼びなさい。......こちらこそよろしくね、清水さん」


 京子の言葉に、清水は「えへへ」と笑ったのだった。


 そう、京子のくじに田中和樹の名前は書かれていなかった。

 彼は2年4組に指名権がわたり、京子は再抽選に挑むことになった。

 そして彼女は清水に入札し、2年1組の担任、女好きの山本との競合の末、彼女の指名権を手に入れたのだ。


(授業ぐらいでしか接点はなかったけど、やっぱり人当たりのよい子ね)


「……それにしても」


 京子は自身が担当する2年5組の生徒リストを見て、ため息をつく。


「当初の予定とは全くもって違うメンバーになったわね」


 京子は当初、生徒会長候補の田中を中心に、問題が起きる可能性の低い真面目な生徒を集めたクラスを作ろうとしていた。

 しかし真面目な生徒たちはドラフト会議の2巡目以降、早々に他のクラスに指名されてしまった。

 その結果、京子の生徒たちは問題児というわけではないが、少しやんちゃなタイプが勢ぞろいしてしまったのだ。


(苦労しそうね)


 京子はこめかみに手を当てた。

 しかし、同時にわくわくもしている。

 この個性の強い生徒たちがこのクラスでどのような化学反応を起こしてくれるのか。

 ドラフトの結果は卒業の時にしかわからない。

 担任教師にできることは、一人でも多くの生徒に後悔のない青春を過ごしてもらうために、サポートするだけである。


「さて、頑張りますか」


 桜の木の下で、京子は今日から始まる新たな生活に気を引き締めるのだった。


〜〜〜〜〜

最後までご覧いただきましてありがとうございました!

こちらで作品は完結となります。

ぜひ♡や★、コメントをいただけますと嬉しいです。

現在連載中のこちらの作品もよろしくお願いします!

https://kakuyomu.jp/works/16817330651262126636


今後ともそろもん。をよろしくお願いいたします。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

秋元京子は理想のチーム(クラス)を作りたい そろもん。 @soromon111

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ